物価上昇が暮らしを直撃 世間が望むのは「インフレかデフレ」か調べてみたら…
総務省によれば、7月まで11ヶ月連続で前年同月比3%を超える物価上昇が続いている。世間はどんな状態を希望しているのだろうか。
バブル崩壊以降の経済低迷が、「失われた30年」とも呼ばれる日本。とくに日本の社会や経済が苦しんだのは、モノやサービスの値段が下がり続けるデフレスパイラルだ。
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■アベノミクスでデフレ脱却
デフレ不況では、「激安」「価格破壊」などといった煽り文句が街にあふれ、賃金は上昇せず、1人あたりGDPの伸び率も諸外国と比較して低くとどまった。
安倍晋三首相(当時)はアベノミクスを掲げて経済浮揚を狙い、日本銀行は2013年から物価安定目標を2%とするインフレターゲットを導入。
ただ、現在はその効果というよりは、ウクライナ紛争やコロナ禍によるサプライチェーンへの影響や、円安による輸入価格の上昇なども背景にインフレが進んでいる。
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■11ヶ月連続で前年比3%の物価高
18日に総務省が発表した7月の生鮮食料品を除く消費者物価指数(コアCPI)は、2020年を100として105.4となり、前年同月比で3.1%上昇。上昇率が3%を上回るのは11ヶ月連続となり、インフレが拡大し続けていることが鮮明となった。
イノベーションや賃金上昇を伴うインフレであれば、生活にとっても経済全体にとっても有益な面も多いが、賃金上昇率を超えると可処分所得に影響してくる。また、年金生活者の場合は給与アップの可能性がある現役世代よりも深刻だ。
こうした物価の状況に対して、世間はどのように感じているのだろうか。
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■5割が「今より弱いインフレ」を希望
Sirabee編集部が、7月31日〜8月2日にかけて全国10〜60代男女1,000名を対象に「望ましいインフレ/デフレ状態」について調査したところ、「今よりインフレを希望」は7.7%。「現在くらいのインフレ」と答えた人が13.5%だった。
最も多かった答えは「今より弱いインフレ」で、54.0%に及んでいる。なお、日本が世界の中で没落し続けたかつてのデフレ状態に戻ることを望む声も、24.8%存在する。
「今より弱いインフレ→かつてのデフレ→現在くらいのデフレ」という支持順となっており、物価高の苦しさゆえか、実際にはよりどん底だったはずのデフレ時代を懐かしむような構図も見えてくる。
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■若い世代はインフレ志向
通貨の価値が下がりモノの値段が上がるインフレは、賃金上昇が見込みやすい若い世代には支持されやすいはず。一方、中高年や年金生活者にはあまり嬉しくない状態だ。
今回の調査結果でも、世代による意識差が顕著に。10〜20代では、「今よりインフレ」「現在くらいのインフレ」を望む人が4割弱に。30〜40代でも2割前後となっている。一方、60代でこれ以上のインフレを望む人はわずか1.3%だった。
ただ、再びデフレになることを望む人はそれほど世代差がなく、どの世代も2割台くらいの人がデフレ回帰を願っていることがわかる。
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■執筆者紹介
タカハシマコト:ニュースサイトSirabee編集主幹/クリエイティブディレクター
1975年東京生まれ。1997年一橋大学社会学部を卒業。2014年NEWSYを設立し、代表取締役に就任。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員。カンヌライオンズシルバー、TCC審査委員長賞、ACCシルバーなどの広告賞を受賞。
著書に、『ツッコミュニケーション』(アスキー新書)『その日本語、お粗末ですよ』(宝島社)
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(文/Sirabee 編集部・タカハシマコト)
対象:全国10代~60代男女1,000名(有効回答数)