左巻の蚊取り線香、じつは「特別な存在」だった 66年前のエピソードに思わず感動…
蚊取り線香の「巻かれている向き」は、左右のどちらを連想するだろう。蚊取り線香の元祖・KINCHOは、この向きにも確固たるプライドを持っているのだ。
気づかれていないだけで、じつは世の中には「作り手の意志」が宿ったデザインがいくつも存在するもの。今回は渦巻型蚊取り線香の「巻かれている向き」の秘密について、探っていきたい。
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■蚊取り線香は右巻き? 左巻き?
「蚊取り線香」と聞いて多くの人が連想するのが、お馴染みの渦巻タイプの蚊取り線香。しかし、そのデザインが「右巻き」か「左巻き」かまで細かく想像している人は少数派なのではなかろうか。
今回は、全国の10〜60代の男女1,000名を対象として「渦巻タイプの蚊取り線香のイメージ」に関する調査を実施することに。その結果、全体の71.7%が「右巻きのイメージがある」と回答していることが判明したのだ。
続いてはこちらの調査結果をもとに、「KINCHO」の呼び名でお馴染みの「大日本除虫菊株式会社」に、詳しい話を聞いてみることに。
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■「右巻き」から「左巻き」にシフト
左利きの人よりも右利きの人の方が多いことから、世の中の商品やサービスは「右利きの人物が利用しやすいもの」であったり「右利きの人物が作成したもの」が多い。
こうした事情は蚊取り線香も例外ではなかったようで、KINCHO担当者は「かつて蚊取り線香は手で巻いて作っていましたので、当時は右巻きでした」と説明している。
この「当時は」というのがミソで、じつは同社ではある年代を境に、60年以上に渡って「左巻き」の蚊取り線香を製造していることをご存知だろうか。
こちらの背景について、KINCHOからは「1957年(昭和32年)頃から、金鳥の蚊取り線香は機械で打ち抜くようになりましが、他社品は右巻きが多かったため、区別するために左巻きにしました」とのコメントが寄せられているのだ。
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■「左巻きに込めた思い」が流石だった
全体の7割以上が「蚊取り線香は右巻きのイメージがある」と回答した今回の調査アンケート。
しかし全ての回答者が「蚊取り線香は右巻き」と明確に意識しているワケではないだろう。記者個人としては、前出のとおり「右利きの人物が多い」事情から「右=スタンダード」と判断し、右巻きを選択した人も少なくなかったのでは…と、推測している。
あえて「左巻き」を選択した背景について、KINCHO担当者は「そもそも蚊取り線香は、弊社が世界で初めて発明した商品です。だからこそ厳選した天然原料を用いて品質にもこだわり、発売当初から変わらない効き目や香りなどを維持しながら、今も作り続けています」「『左巻きの蚊取り線香=金鳥の蚊取り線香』となっておりますので、これは他社さまとは違う『元祖の蚊取り線香なのです』という、こだわりの証でもあります」と、思いの丈を語ってくれた。
また「ぜひ、この機会に『左巻き=金鳥の蚊取り線香』と覚えて頂き、今後蚊取り線香を見かけた際には、どちら巻きなのかも注目してご覧ください」とのコメントも得られたのだ。
今まで「蚊取り線香のデザインを意識していなかった」という人は、巻かれている向きに注目してみよう。
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■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
対象:全国10代~60代男女1,000名 (有効回答数)