漫画の表紙をSNSにアップしたら「著作権侵害の可能性」…? 弁護士の指摘に驚き
漫画や雑誌の中身をSNSにアップする──。何気なくやるこの行為、著作権侵害に該当する。
漫画や雑誌を読んで面白いと思ったページをスマホで撮影し、SNSにアップする──。出版社が「こうした行為は著作権侵害にあたる」と警告し、ネット上で話題を呼んでいる。
著作権について、弁護士に取材すると「意外な事実」が判明して…。
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■ホビージャパンの投稿が話題に
ことの発端は、プラモデルやフィギュアなどホビー全般を扱う専門誌「ホビージャパン」の公式X(旧ツイッター)のポストだった。8月28日、同社は「雑誌(電子版を含む)の誌面を撮影してブログやSNS等に公開する行為が目立ちます。これらの行為は著作権・肖像権等を侵害するものです」と、投稿。
【ホビージャパン編集部からのお願い】
雑誌(電子版を含む)の誌面を撮影してブログやSNS等に公開する行為が目立ちます。これらの行為は著作権・肖像権等を侵害するものです。ご注意ください。
編集部でアップするオフショットは雑誌のプロモーション目的で公開しており、リツイートや引用は歓迎です pic.twitter.com/fwOZKK68fo— ホビージャパン編集部 (@HobbyJapan_MAG) August 28, 2023
近年、漫画や雑誌の中身を撮影し、SNSに投稿する行為が散見されるが、こうした行為に注意喚起したのだ。なお、「編集部でアップするオフショットは雑誌のプロモーション目的で公開しており、リツイートや引用は歓迎です」と、ルールを守った上での拡散には理解を示している。
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■ネット上では共感の声
多くの人が何気なくやっていることに注意喚起するポストはネット上でも話題に。
「書籍、漫画など平気でネットに上げている人が散見されるのは悲しいし、不快」「むしろ今までなんでみんな平然と載せて、拡散してんだろう」「新しいマンガの中身の写真、自分が読む前にネットで流れてきたのでネタバレした感じがすごく嫌だった」「学校で著作権や肖像権などの勉強させるべき」など、共感する声が多数あがっている。
漫画や雑誌をSNSにアップする際、どんな点が著作権侵害に当たるのか。レイ法律事務所に所属する舟橋和宏弁護士に取材した。
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■「表紙をアップするだけでも…」
ネット上では「表紙はアップしても大丈夫」「ページの中身は著作権侵害」「1コマだけならセーフ」といった声も時折聞こえるが、基準はあるのだろうか。舟橋弁護士は、「雑誌の表紙も著作物に該当しますので、SNSにアップした場合は著作権(公衆送信権)侵害に該当します。表紙だけ、漫画の1ページ目だけということは影響せず、1ページでも一部分でもアップすることは著作権侵害に当たります」と話す。
表紙だけでも著作権侵害に該当するということは、SNSに「今週の◯◯、すごい感動した」と漫画雑誌の表紙のみアップする行為も違法になる可能性があるということ。また、漫画の名場面・名セリフが映ったシーンの写真を投稿するケースも見受けられるが、こちらも著作権侵害と言えるそうだ。
ただ、舟橋弁護士は「感想を述べる上での『引用』にあたる可能性もあると考えます。引用に該当すれば、SNSへのアップも適法といえます。また、著作権侵害を発見した出版社等が訴えることも、原理的には可能ですが、そう多くはないと考えます」と、補足する。
出版社も、SNSで自社の刊行物の表紙をアップした人を見つけるたび、毎回訴えていたらきりがないだろう。そもそも、SNSに刊行物の表紙のみ映した写真を載せる行為を容認している出版社が多い。あくまで、理論上可能ということだろう。
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■損害賠償が発生する可能性も
ホビージャパンのケースのように、SNSに漫画や雑誌の中身をアップして著作権侵害で訴えられた場合、損害賠償等が発生する可能性はあるのか。
こちらの疑問をぶつけたところ、舟橋弁護士からは、「損害賠償が認められるためには、侵害行為を行った者に故意または過失が認められることが必要となります。海賊版の問題が大きく報道されていますし、故意も過失もないとはいい難く、損害賠償請求が認められる可能性は十分あると考えます」という回答が寄せられている。
「みんなやってることだから」という意識は捨て、著作権に対する意識を持ってほしい。
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■執筆者プロフィール
斎藤聡人:1991年生まれ。『Sirabee』編集部記者。
某週刊誌の芸能記者を経て現職に。ジャニーズネタなど、芸能ニュースを中心に取材。飲食店をめぐり、グルメ記事も手がける。
仕事も兼ねた毎日のドラマ鑑賞が日課。今期の推しは、『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)と『ばらかもん』(同系)。『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)の行方も気になる毎日。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)