機能不全を露呈する国連 存在意義はいっそうなくなる?
国連安保理ではウクライナとロシアが非難の応酬。世界の平和を実現するべき国連は何もできないでいる。いつの日か国連が崩壊するときが来るのか。
世界で戦争が起これば、その先頭に立って解決を目指すのが国連安保理の最大の使命である。国連安保理の決定は全加盟国を拘束し、これまでも場合によって武力行使を容認する決定を行ってきた。その絶大な権力を持つ国連安保理ではあるが、ウクライナ戦争では全く何もできないでいる。
■機能不全極まりない“安全保障理事会”
安保理には常任理事国5ヶ国と非常任理事国10ヶ国が参加するのだが、その5ヶ国とは米国、英国、フランス、そして中国とロシアなのだ。
そして、拒否権といって、その5ヶ国のうち1ヶ国でも反対すればどんな決議も否決される仕組みになっており、国連安保理では中国やロシアを非難したり、制裁を課したりする決議は全て拒否権の行使(中国やロシアが行使する)によって廃案となるのだ。
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■国連は今後崩壊するのか
今後、米国と中国、ロシアとの大国間対立はいっそう激しくなっていく。これはすでに避けられない事実だ。そうなれば世界の平和と安全を担う安全保障理事会にはさらなる活躍が期待されるわけだが、安全保障理事会は争いの中心にある大国によって運営されているのだ。
安全保障理事会には何も期待はできない。そうなれば、安全保障理事会に変わる組織を何とか作らなければならないが、その可能性はゼロに近い。よって、国連とは別に今後はNATOの役割がいっそう広がる可能性があるが、NATOが対象とする範囲は北大西洋であり、要は欧米外の問題に介入する組織ではない。
このままの状態が続けば、国連の崩壊も徐々に現実問題となってくるだろう。
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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中)