映画『ドラクエ』主人公名前裁判、損害賠償は棄却に ファンからは「法ではなく仁義」の声も…
映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』の主人公の名前が小説版と類似しているとして小説版著者が訴えを起こした裁判が敗訴に。ファンからは反響が。
人気ゲーム『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』を原案として2019年に公開された映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」に主人公の名称を無断使用されたとして「小説ドラゴンクエストV」の著者である久美沙織氏がスクウェア・エニックスや東宝に損害賠償を求めた裁判が行なわれた。
■映画版『ドラクエ5』
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』といえば、人気ゲーム『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』を原案として2019年に公開された3DCGアニメーション映画作品だ。
『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』は、『ドラゴンクエスト』シリーズの5作目となるナンバリングタイトルとなっており、親子3代に渡るストーリーや物語中盤に結婚という人生の重大なイベントがあることが特徴的。スーパーファミコンで発売されたのち、PS2、ニンテンドーDS、スマホ版など様々な形でリメイクされている。
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■主人公の名前が小説版と類似
そんな人気作の『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』だが、1993年には「小説ドラゴンクエストV」が発売に。ゲームでは主人公の名前はプレイヤーが入力する形が取られていたが、同小説では著者の久美沙織氏が創作した主人公キャラクター「リュケイロム・エル・ケル・グランバニア」(通称「リュカ」)という名前が使われていた。
しかし、その後2019年に公開された『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』では、主人公の名前が小説版と類似した名前「リュカ・エル・ケル・グランバニア」が使用されており、それらを発端として久美氏がスクウェア・エニックスや東宝に損害賠償を求めた裁判を行なった。
裁判を起こす経緯としては、事前に久美氏が映画公開前にスクウェア・エニックスと協議し、リュカの名称が小説由来のものであることをエンドクレジットやパンフレットに明示すること、公開に合わせて「小説ドラゴンクエストV」の宣伝販売することを求めたものの、スクウェア・エニックスが「名前には著作権がない」と応じなかったことで2021年に久美沙織氏が提訴することになったと自身のnoteにて公開している。
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■人物の名称は著作物ではない
東京地裁は久美氏のこの請求を棄却。柴田裁判長は「人物の名称は、思想または感情を創作的に表現し、文芸や美術などに属するとは言えない」と述べ、著作物ではないと判断している。
またこの結果に対して久美氏は公式Xにて「映画『ドラゴンクエスト ユアストーリー』私の請求は棄却されました。敗訴です」とした上で「くわしくはまたのちほど」と続けていた。
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■「法ではなく仁義」との声も
今回の報道を受け、ネット上では「小説のファンだったので悲しいです。大事にしてほしいですね」「残念な結果です…」といった声があがっていた。
また「ドラクエでリュカと言えば小説を連想する程には浸透してるのに。一言あって、クレジットに名前を載せる位は義理かなと思いました」「法的には問題ないとしてもスクエニが不義理ぶっこいたのは間違いないと思う。法ではなく仁義」といった意見も寄せられていた。
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(文/Sirabee 編集部・北田力也)