有吉弘行と千鳥の時代がお笑い界を再生させる理由 21世紀型芸人の活躍
コア視聴率や『紅白歌合戦』の司会の大抜擢からなる、有吉弘行と千鳥ら21世紀型芸人らによる、お笑い界のある程度の再生。
■21世紀型芸人への世代交代
『FNSラフ&ミュージック』(フジテレビ系)では、松本人志と内村の共演も行われ、いわゆる「お笑い第3世代」や「お笑い第4世代」の時代が本格的にやってくるかと思われた。
ところがコア視聴率による千鳥らの「27時間テレビ」の成功、さらに有吉の『NHK紅白歌合戦』の司会の抜擢は、ここ15年でのし上がったいわゆる「お笑い第5世代」「お笑い第6世代」の時代への転換を示すようにも見える。
彼らはTVが絶対的であった時代が終わった後に大ブレイクしたMC芸人達。番組制作費を中心として、今のTVに適合的な芸人達だ。コア視聴率を中心とした改革は、いわば21世紀型芸人への世代交代を可能にしたのかもしれない。
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■内村の系譜としての有吉
有吉は『NHK紅白歌合戦』の司会に抜擢されてのコメントで、内村に対して一番尊敬していて憧れていることに言及した。NHK側も、内村を意識しての有吉の司会への抜擢と思われる。
「大阪の吉本芸人は大阪の笑いを内村の番組でろ過すべし」と今田耕司や東野幸治が言うほどに、内村は関西らしい吉本と対極の存在。同様に、有吉の非吉本興業的な特性が際立つところだろう。
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■有吉 vs 千鳥
『27時間テレビ』で有吉と千鳥らは久々に競演していた。有吉のコーナーでの仕切りっぷりは、普段の有吉とは一味違っていただろう。
大悟がピッチングマシンの150キロのボールのキャッチに成功したことに対抗し、有吉は2回挑戦してでもキャッチし、場を盛り上げ、また終盤はノブらに攻撃的なところもあり、バチバチしているところもあったのではないだろうか。
一方で、大悟はピンでMCも始めており、『トークで落とせ!大悟の芸人領収書』(日本テレビ系)など、MCとしてトップの立場に立てば、有吉にはないような持ち前の包容力を活かせているようだ。
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■お笑い界の再生
また一方でいわゆる「お笑い第7世代」は批判されがちでもあるが、 じつのところ、霜降り明星やヒコロヒーを筆頭にこれまでにはなかった多様な若手芸人の活躍が実現している。
有吉や千鳥の先輩芸人たちもまだまだ現役で、コア視聴率を中心とした改革は、沈滞していたお笑い界をある程度再生し、新時代をつくっていきそうだ。
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(文/メディア評論家・宮室 信洋)