【舛添要一連載】イギリス領北アイルランドで初の「統一派」首相が誕生 連合王国は今後どうなる?
【国際政治の表と裏】イギリスのEU離脱(Brexit)から4年が経過した。国内では多くの禍根がいまだ残っており…。
■自治政府の復活
ところが、今年の2月1日に、EUとイギリスが、英国本土と北アイルランドの通関手続きの簡素化で合意したことで、DUPも組閣に応じ、自治政府が再開されることになったのである。
2月3日、シン・フェイン党から初めて、ミシェル・オニール副党首が北アイルランド自治政府の首相に選ばれた。副首相はDUPからである。
新首相は、「私は全ての人に平等に仕え、全ての人のための首相になる」と宣言した。しかし、シン・フェイン党の主張であるアイルランドとの統合という動きが今後活発化するのではないかという危惧の声も聞かれる。それは、カトリックの人口が増えているからである。今後の政権運営を注目したい。
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■イギリスは解体するか
Brexitには大きな禍根を残した。北アイルランドの両派とも、EU離脱決定後の措置によって、英本国に裏切られたという思いが強い。スコットランド民族党はBrexitに反対であり、独立志向を高めている。これらの動きは、連合王国の解体へとつながるかもしれない。
Brexit騒動は、以上のような問題を生み、イギリス社会を分断させてしまった。軽はずみに国民投票を決めたキャメロン元首相の歴史的責任は重い。連合王国の解体をはじめ、大きな負の遺産を残すことになるかもしれない。
離脱というハードルを乗り越えて、今よりも強い、そして今よりも豊かなイギリスを見ることができるのであろうか。北アイルランド問題も、Brexitの大きなツケであることを忘れてはならない。ポピュリズムがもたらした負の遺産である。
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■執筆者プロフィール
Sirabeeでは、風雲急を告げる国際政治や紛争などのリアルや展望について、元厚生労働大臣・前東京都知事で政治学者の舛添要一(ますぞえよういち)さんが解説する連載コラム【国際政治の表と裏】を毎週公開しています。
今週は、「北アイルランド」をテーマにお届けしました。
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(文/舛添要一)