AOKIで見つけたシューズ、原材料に目を疑う… 「開発エピソード」に思わず感動
使わなくなったスーツや礼服をリサイクルした「ウールエコシューズ」。開発には様々なドラマがあって…。
■開発に至った経緯は…
AOKIでは、90年代からウール製品の回収事業をしているが、当初は車の吸音材など産業資材にリサイクルしていたという。
同社の広報担当者は、今回シューズにリサイクルした経緯に関して、「これまでは産業資材ということもあり、お客様の手元に届いていませんでした。昨今のサステナブルファッションへの意識の高まりを受け、お客様に商品という形でリサイクルしてお届けしたいと考えました。世界的にもサステナブルシューズが注目されていたため、AOKIでもできないかと思い、シューズという形で発売させていただきました」と説明する。
2年ほど前から構想があったそうだが、シューズにするのは簡単なことではなかった。
広報担当者は、「回収したスーツは機械で細かく裁断し、無数の針で梳(くしけず)る反毛という作業をして綿状にします。そこから紡いで、糸を作って生地にするのですが、質の良い糸を作るのに1年近く時間を要し、苦労しました」と話す。
実際に履くことを考えると、より良質な糸を作る必要があったのだ。
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■「スコールの多い東南アジアで…」
環境への配慮はもちろん、靴としての強度、ビジネス・カジュアル両方に合わせやすいデザインなど、あらゆる面で優れた「ウールエコシューズ」。特に、強度に関しては力を入れたようだ。
広報担当者からは、「開発担当者が実際に靴を履き、15回ほど海外に行っています。特に、スコールの多い東南アジアを中心に半年ほど履きました。天候に関わらず、1日中履いてライフテストを重ねました」という回答が寄せられており、開発担当者の熱い思いが窺える。
試し履きしたシューズはすでに最終形に近いものだったが、商品として世に出すため、念入りに確認したという。
最後に、今後の展望を尋ねると、広報担当者は、「生地を安定的に供給できる環境を整備したいです。現在のウールエコシューズは色を染めず、回収したスーツや礼服そのままの黒色になっています。色を染める際は熱を与えて負荷がかかるため、糸の強度が落ちてしまいます。今後は、いかに安定して色を作っていくかが課題だと感じております。そこをクリアしてから次のステップに進みたいと思います」と力強く話す。
「ウールエコシューズ」はまだまだ進化する可能性を秘めている。
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■執筆者プロフィール
斎藤聡人:1991年生まれ。『Sirabee』編集部記者。
某週刊誌の芸能記者を経て現職に。旧ジャニーズネタなど、芸能ニュースを中心に様々なジャンルを取材する。
チェーン店からローカル店まで様々な飲食店をめぐり、グルメ記事も手がける。仕事も兼ねた毎日のドラマ鑑賞が日課。
今期の推しは、『正直不動産2』(NHK)、『院内警察』(フジテレビ系)、『不適切にもほどがある!』(TBS系)。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)