埼玉大学の前期入試に2年前と全く同じ設問、出題ミスの物議醸すも… 大学は「お答えできない」

埼玉大学の入試問題に2年前と全く同じ問題が登場。多くの受験生の間で「出題ミスでは」と話題になった出題をめぐり、関係者に話を聞いた。

2024/03/05 04:45



■受験生「出題ミスと思った」

今回Xに画像が投稿された2つの問題は、2022年度、24年度の文系前期の問題。

多くのネットユーザーが出題ミスを疑っているが、じつは大学入試には参加大学間で過去問の使用を共有する「入試過去問題活用宣言」という組織が存在し、埼玉大学もこちらに加入している。

また、埼玉大学の募集要項にも「本学は、『入試過去問題活用宣言」に参加しており、個別学力検査において、本学だけでなく『入試過去問題活用宣言』参加校の過去問題を利用する場合があります」と、明記されているのだ。

つまり、同大学がかつて入試で使用した問題を再度出題すること自体は問題無いのだが…今回大きな話題となったのは「問題に改変がない」点と、「出題スパンが比較的短い」という点が影響しているだろう。

ポスト投稿主・つみきさんも「過去問が出題されるケースはある」と認識していた受験生のひとりだが、出題内容に気づいた際の心境について「驚きました。2年前の過去問をそのまま使うのはちょっと期間が短すぎるな…。これは出題ミスではないのか? と思いました」と、振り返っている。


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■予備校関係者は「異例中の異例」

件の出題は予備校業界にも衝撃を与えており、武田塾・英語課課長の森田鉄也氏は即座に反応。試験同日には自身の運営するYouTubeチャンネル「Morite2 English」より、本件に関する動画を「緊急速報」と銘打ってアップしている。

今回の出題に関し、森田氏に話を聞いたところ「類題が出題されるケースは珍しくありませんが、一字一句変わらず、英作文の問題で、2年前という最近の問題が出題されるのは異例中の異例であり、どこかの段階で誰かが間違えたとしか思えませんでした」と、驚いた様子のコメントが得られた。

埼玉大学入試

また、森田氏は「同じ問題の出題が禁止されているわけではありません」と前置きしたうえで「しかし受験生の中には、この過去問の演習を通してアイデア出しをし、添削指導を受けていた人物がいるわけです。そうした事象を『事前に準備していた人の英語力をきちんと計測できるものではないから不公平』と考えるかどうかで、意見は分かれると思います」とも分析している。

また、埼玉大学「経済学部」の前期入試は「国語」「数学」「外国語」(英語)のうちから2科目を選択するため、今回のケースに対して「英語選択者が有利なのでは」と、疑問を覚えた人も少なくないようだ。


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■埼玉大学も「出題を認める」

続いては、入試過去問活用宣言を運営する岐阜大学の教学事務部門 学務部・入試課に、同組織が発足した経緯について尋ねてみる。

すると、担当者からは「過去の問題には『良問』が蓄積されており、『大学財産として共有し、活用してはどうか』という観点から始まったものと認識しております。その中で、賛同した大学同志が共有して互いに過去問題を利用する、ということが『入試過去問題活用宣言』になります」との回答が。

つまり、埼玉大学側は同問題を「良問」として認識している可能性が高いのだ。実際X上には「問題は一緒だけど、環境は2年でかなり変わってきていている。良問だと思った」など、出題内容を評価する声も散見されている。

埼玉大学入試

そこで、今回話題となった出題を埼玉大学の学務部・入試課に確認してもらったところ、担当者は2つの問題が22年度、24年度の出題であることを認めた。

しかし「出題ミス」なのか「意図して出題した問題」であるかという問いに対しては「入試に関することのため、お答えできません」とのことであった。

受験界隈に大きな衝撃を与えた今回の出題内容。「過去問の重要性」を改めて認識した人も、少なくないだろう。


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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力と機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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