ハガキ表面に見つけた謎の記号、印刷ミスと思いきや… 意外すぎる正体が「天才のアイデア」と話題

ハガキの表面にプリントされた謎の記号。切手を貼ると分かる予想外な正体が「天才のアイデア」と話題を呼んでいる。

2024/04/18 11:15



■「製作者不明」と思いきや奇跡が…

ポスト投稿主・Maru.さんは、日頃より「デザインの価値観で繋がりたい」と感じており、アイデアの素晴らしいデザインや、気になるWebページ等の情報をXで紹介しているそう。そんなある日、件のハガキの画像を発見したのだ。

同デザインについて、Maru.さんは「ひと目見て『これはすごい』と思いました。何がすごいかって、どの切手を貼っても『絵になる』オールマイティなアイデア、少し馬鹿馬鹿しい絵の切手を貼っても妙に知的に見えてしまうユーモア、デザイナー事情である『切手からはみ出さないように切手位置にデザインを施す』というセオリーを破壊して『堂々と見せる』仕様。それがまた下品でなく、様々な角度でどこから見ても『めちゃくちゃ良い』かつ『分かりやすい』デザインでした」とベタ褒め。

発見当時が桜のシーズンだったこともあり、「見た人に喜んでほしいな」という思いで、前出のポストを投稿したという。

切手をかざる

すると自身が思っていた以上の反響があり、やや怖くなると同時に「デザインしたご本人にお知らせしたい」という思いが強くなっていく。しかしこちらのハガキは現在では販売が終了しており、製作者に辿り着くヒントは皆無に等しい状況だったのだ。

しかしなんとポストが広く拡散された甲斐あって、製作者をよく知る人物とのコンタクトに成功。その後、製作者本人にも連絡がとれたというから驚きである。


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■製作者は「驚いています」

時を同じくして記者も別ルートから製作者を特定しており、話題のハガキはデザイナー、現在は染色家としても活動するウチウ堂・川並良太さんが10年前に発表した作品と判明したのだ。

事の経緯を説明したところ、ウチウ堂の代表者は取材を快諾。

「確かに、私が10年前に発表した『切手をかざる』という作品で間違いありません。今回多くの方から、Xで話題になっているという連絡を頂きました。ご無沙汰していた友人などからも連絡があったり…。正直、10年も前の作品なので、反応の大きさに驚いてます」と、率直な感想を寄せてくれたのだ。

製作当時の2014年は消費税率が5%から8%に引き上げられた年で、全国的に不景気、悲観的なムードが漂っていた。そうした中で新料金・新デザインの切手が発行されるようになり、普通切手「花」のデザインの美しさが話題になる。

そこで2.6×2.2cmの切手を小さく美しい絵画に見立て、「飾る」という表現を作品にすることを閃いたのだ。

切手をかざる

なんとも粋なデザインには発表当初も大きな反響があり、ウチウ堂でも販売をスタート。しかし、諸々の作業が手間となり、在庫はあるものの販売を停止することに。古い機械を用いて「活版印刷」という方法で1枚ずつ手刷りで印刷しているため、大量生産もできないそうだ。

だが、今回の反響の大きさを鑑みてか「地元の就労継続支援B型事業所にご協力頂き、パッケージや発送などを業務委託することで、近いうちに販売再開を予定しております」と、なんとも嬉しいコメントも得られている。

素晴らしい作品を見つけてネット上に発信したら予想外のバズりを見せ、作者本人にもその投稿が届く…というのは、SNS界隈で稀に見られる現象。

たった1件のポストによって10年も前の作品に再び日の目が当たり、大きな再評価へと繋がり、デザイナー本人にまで多くの声が届き、再販にまで至った一連の経緯は「SNSの奇跡」と呼んで差し支えないだろう。


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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力と機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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