日本で2番目に大きな都市、当然大阪と思いきや… 英語の問題文が「横浜市民の仕業」と話題

高校英語テキストの「大阪は日本で3番目に大きな都市だ」という問題が物議を醸している。では、日本第二の都市はどこなのだろうか…?

2024/07/04 05:15



■「横浜市民はプライドが高い」

今回のポストの経緯について、ポスト投稿主・もちもちさんは「英語の授業中にこの問題を見つけ、『確かに横浜市は大阪市より人口が多いけれど、三大都市と言えば東京、大阪、名古屋と一般的には思うよな…』と考えつつ、ネットやテレビ番組で『横浜市民はプライドが高くて横浜愛が強く、横浜が一番と思っている』というネタをよく聞くため、『遠回しに横浜が一番って言いたいんじゃね?(笑)』といったノリで、面白半分で投稿しました」と振り返る。

もちもちさん自身、地理が好きということもあり、「地理に関係する問題文が出てきて嬉しいなという思いと『大阪は2番目でしょうよ』という思いもありながら、都市を比較するのは面白いなと感じました」とも口にしていた。

大阪市

そこで、話題のテキスト『五訂版 UNITE 英語総合問題集 STAGE 2』を発行する数研出版に事情を説明し、担当者に取材を打診。…しかし、待てど暮らせど担当者からは連絡が無く、こちらから再度コンタクトを試みたところ、「取材には応じられない」とのことであった。

なお、やり取りの中でテキスト担当者が直接会話をすることはなく、「危険を察知して身を隠した横浜市民」の説も浮上している。

続いては、8歳の頃に引っ越してきて以来、17年間横浜に住んでいる男性に、率直な意見を聞いてみることに…。


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■横浜市民「大阪には絶対負けない」

横浜みなとみらい

取材に応じてくれた男性は、横浜の魅力について「都市部、開発エリア、自然、地元感の全てを味わえる点です」と主張。

「横浜駅周辺では東京に行かずとも、何でも揃います。なんといっても横浜駅は常に工事しているので、毎年進化しています」「みなとみらいエリアは今なお開発が進んでいて、完成したばかりで最新のKアリーナ横浜など、エンタメも楽しめます」と、具体例を挙げる。

続けて「横浜の雄大な海と調和した街作りによって、街にいながら豊かな自然を楽しめます」「国道沿いに並ぶ有名家系ラーメン店は、横浜でしか見られない景色だと思います。オススメは寿々㐂家(すずきや)です」と、その魅力を力説してくれたのだ。

そんな彼に「日本の都市ランキング」上位3位を尋ねたところ、1位:東京、2位:横浜、3位:大阪という、期待通りの回答が。

さらに「大阪府には勝てませんが、大阪『市』には絶対負けません」という、狂戦士(バーサーカー)のように好戦的なコメントが寄せられている。

また「これは蛇足ですが…」と前置きしつつ、「横浜で育った人は全員『横浜市歌』を歌えるんです。小学校、中学校、高校と、式典の際は国歌→横浜市歌→校歌の順で歌うのが通例となっています」「私は、横浜の人間が地元愛が強いのは、この市歌教育に原因があるのではと考えています」とも分析していたのだ。


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■大阪と横浜のランキングを見ると…

今回のテーマが大きな反響を呼んだのは「都市の大きさ」という定義にも要因があるように感じられる。

「日本で一番高い山」や「世界で一番長い川」であれば「長さの単位」という明確な比較対象があるが、「日本で2番目に大きい都市」と聞いて、「日本で2番目に面積が大きい都市」と受け取る人は少数派だろう。

そこで続いては、森記念財団・都市戦略研究所が発表する「世界の都市総合力ランキング」(GPCI)および、日本の都市特性評価(JPC)の内容をチェックしていきたい。

まずGPCIは、国際的な都市間競争において、人や企業を惹きつける「磁力」は、その都市が有する総合的な力によって生み出されるという考えに基づき、作成されたもの。世界の主要都市の「総合力」を経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野で複眼的に評価し、順位付けしている

2023年度の結果は、1位:ロンドン、2位:ニューヨーク、3位:東京といった都市が上位に名を連ねており、次に登場する日本の都市は「大阪」(37位)であった。ちなみに、その次は「福岡」(42位)である。

JPCは「日本全体が活力を保ち続けるため、各都市がそれぞれの特性を活かしながら都市づくりを進め、人や企業を惹きつける『磁力』と、魅力や強みを継続的に発揮し続ける『発展性』を維持していかなければならない」という考えから導き出された評価。

日本の各都道府県における主要都市を対象として、都市の力を定量・定性データをベースに相対的かつ多角的に分析し、都市の強みや魅力といった都市特性を明らかにすることを目的としている。

こちらはあくまで「市」単位での評価であり、2023年度版の上位は1位:大阪市、2位:横浜市、3位:名古屋市となった。

大阪・道頓堀
(Sodabelly/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

対象となった136都市中、大阪市は「経済・ビジネス」および「交通・アクセス」分野で1位を獲得したが、「環境」が133位とほぼワースト(昨年は137位)で、都市戦略研究所も「環境は順位を少し上げたものの依然として弱みである。環境を改善することで、関西圏の中心都市の大阪市はさらなる成長が期待される」と説明している。

大阪市

総合2位の横浜市も「環境」分野では97位とそこまで高くないが、「研究・開発」で4位(大阪は5位)、「文化・交流」で2位(大阪は3位)と、他分野では安定した高評価を記録。

横浜市

都市戦略研究所は「文化・交流の国際会議・展示会開催件数については、新型コロナウイルス感染症の影響で多くの都市が件数を落とす中、横浜市は件数を伸ばしたことで、『交流実績』で突出した偏差値を獲得した。また、観光客誘致活動も積極的であり、『発信実績』の評価を上げた。経済・ビジネスでは、『人材の多様性』でスコアを伸ばしており、人材の豊富さで魅力を発揮した」と説明している。

なお、2022年度版の評価は1位:大阪市、2位:京都市、3位:福岡市となっており、ツートップが固定となっているワケではなさそうだ。

今回の一件で「日本第2の都市は大阪市」と考えている人が多いと改めて判明したが、都市の大きさ、そして評価は「決して不変ではない」ということを肝に銘じておきたい。


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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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