真夏に着ると黒より危険な色、その正体にゾッとした 8割超が「知らなかった」判明
日差しが強い真夏日、赤・青・緑・黄の4色ではどの色の服を着ると危険なのか。大多数の人が勘違いしていると明らかになった。
■「黒よりも熱い色」が存在した
一ノ瀬氏は以前、「最小スケール気候変動適応策としての被服色彩選択効果について」という発表の中で、色違いの9色のポロシャツを使用した実験結果について言及している。
曰く、「色彩による温度差は明瞭であり、白、黄がとりわけ低く、灰、赤がほぼ同じレベルで、紫、青がさらに高めで拮抗し、緑、濃緑、黒が最も高温のグループを形成した」とのこと。
その温度差は非常に大きく、なんと「濃緑(高温)と赤(低温)との間には5〜10℃の温度差(夏季日中の日照条件下)が生じる」と、衝撃の事実が明かされたのだ。
各ポロシャツを表面温度の高さ順に並べると、濃緑、黒、青、緑、紫、赤、灰、黄、白となり、僅差ではあるが「熱を吸収する色の代名詞」的存在の黒より、濃緑の方が高温になったことが判明。
濃緑(最高温)と白(最低温)の間では、約15℃もの温度差が生じるという。また、ほぼ無風の条件下では黒や緑で50℃を超える事例も観測されており、聞いているだけで恐ろしくなってしまう。
これらの事例を踏まえ、一ノ瀬氏は「夏季の暑熱リスク軽減の視点から、被服の色彩選択も重要な気候変動適応策の一つと言えます」と結論づけていた。
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■「熱を吸収」は正確でなく…
クールな印象のある青が高温になりやすく、明るい印象を受ける赤、黄が低温グループに属するという事実は、非常に意外であった。「夏に赤い服を着ると暑苦しく見えるから、青い服で少しでも爽やかな気分になろう」といった作戦は、完全に裏目に出ていたワケだ…。
なお、今回の調査結果を受けて一ノ瀬氏は「『熱を吸収』という表現の理解に、個人差がある気がします」とも分析している。
多くの人が「黒は熱を吸収しやすい」という印象を持っていると見越し、同表現を使用したが、実際は「黒は太陽放射を吸収しやすい」(=温度が上昇しやすい)という表現が適切である。
Tシャツが熱を帯びるメカニズムについて、一ノ瀬氏は「熱は接触した固体(液体)との間でしか吸収されません。そのため空気に面したシャツの表面へは放射が吸収され、後に温度上昇でそのエネルギーが使われることになります」と説明。
色ごとに見られる温度の差異については「太陽放射の反射・吸収・透過のバランスが色ごとに決まっており、見た目の明るさとは微妙に違います」「濃緑が黒より熱い理由は、可視光および近赤外の合計で、吸収(反射や透過以外)が最大であったという理由です」とも補足している。
これから8月を過ごすにあたり、暑さはより深刻になっていく。クローゼットの中の夏服の色を、今一度確かめておこう。
【出典】
Ichinose, T., Y. Pan, Y. Yoshida (2024):
Clothing color effect as a target of the smallest scale climate change adaptation.
International Journal of Biometeorology, 68.
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■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
対象:全国10代~60代男女662名 (有効回答数)