レトロゲームをプレイできる「大人のゲームボーイ」で遊んでみた

Anbernic RG35XXが追求したのはノスタルジーと快適性です。

2024/08/10 22:30

GIZMODO

2023年3月31日の記事を編集して再掲載しています。

攻めのValve Steam Deck、任天堂Switch、Ayaneo製ゲーム機とは正反対のベクトル。

Anbernic RG35XXが追求したのはノスタルジーと快適性です。

(任天堂の法務に訴えられない範囲で)初代ゲームボーイを限りなく忠実に再現しました。時間軸的には、ゲームが3Dになる前の、横スクロールがすべてだった時代が見本。

価格も値ごろだし、ファンがクリエイトしたOSに切り替えたりの楽しみ方もできますよ。

Anbernicのハンドヘルドは年を重ねるごとに性能が上がっています。最近は高級感のあるタッチ画面のAndroid機やWindows機まであってSteam Deckに迫る勢い。

そんなときRG35XXみたいなミニちゃんを出すのも謎ですが、2022年にバカ売れした60ドルのMiyoo Miniが入手困難になったので、GKD Mini Plus同様、あわよくば二匹目のどじょう狙いなんでしょう。

Miyoo Miniの価格と性能の絶妙なバランスを踏襲しつつ、独自の改善を加えています。

注:レビュー機はオンラインストア「KeepRetro」から提供いただきました。

Anbernic RG35XX

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Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo
 
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これは何?:ゲームボーイのクローン。エミュレーションでPS1以前のレトロゲーム数千種が楽しめる!(アナログスティックはついていません)

価格:65ドル(約8,500円)

好きなところ:上質なハードウェア、microSDカードスロットが2つあるので、ゲーム用とシステム用を別々に分けられる、画面はMiyoo Miniよりずっといい

好きじゃないところ:処理パワーが市場ベストってほどじゃない(一部の16ビットタイトルは設定をいじらないとスムーズにプレイできない)、画面も自社ベストってほどじゃない(そのぶん価格は安い)



21世紀のゲームボーイ

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左)任天堂の初代ゲームボーイ/右)Anbernic RG35XX
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo
 

任天堂ゲームボーイ誕生から34年。そのデザインは今も広く愛されています。

Anbernic RG35XXでは右下だけ角が丸くなってるところまで初代ゲームボーイそのまんまで、スピーカーの穴の傾きと本数、選択&スタート用ボタンの配置にいたるまで参考にしまくりです。

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ゲームボーイ、スーパーニンテンドーのレイアウトそのまんまなので何のストレスもない
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo
 
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XがHに見えるのだけなんとかして欲しい
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo
 

最近の中国製ゲーム機は英字フォントが微妙で、これなんかも「X」が「H」に空目します。

手元がプルプルしてなかったら極細ペンで直すのにな…。という独り言はありますが、本体のルック&フィールは最高ですし、手に持ってよし、プレイしてよし。あんまり手抜きした感じはしません。


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Miyoo Miniよりは上

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左)Anbernic RG35XX/右)Miyoo Mini
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo
 

デスクに散らばってるゲーム機で最近いちばん出番が多いのは正直、Miyoo Miniなのですが、ゲーム機としての完成度は低いと言わざるをえません。

ポケットに放り込めるサイズ感がレトロゲーマーに人気なのはわかるのだけど、自分みたいに手が大きいと、どうしても手狭に感じます。

その点、Anbernic RG35XXはMiyoo Miniよりは大きいのでプレイしやすくて、特に長いゲームセッションで違いが出ます。

画面サイズは640×480。段差のないフルラミネート加工で防塵は万全。

Anbernic社が出してるゲーム機にはもっといい画面のものもあり、自社ベストというわけではないけど、Miyoo Miniよりはずっといいかな。色も鮮明なら視野角もかなり広くなっています

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Anbernic RG35XXの背面。ショルダーボタンが突き出ている。異物感はあるけど押しやすい
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo
 

あとRG35XXはショルダーボタンが好き。

Miyoo Miniよりずっと突き出ていて、指がなじむカーブ。手探りで押すのもかんたんです(欲を言えば、もっとボタンの配置はL/Rボタン、L2/R2ボタンで段差があるほうが手探りで押しやすかったけど…。重箱の隅かな)。

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HDMI端子も装備! 大画面でゲームが楽しめる(ミニHDMI変換アダプタは必要)
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo
 

RG35XXには、大画面でゲームを楽しみたい人用のHDMI端子もついています

ミニHDMI規格なので、手持ちのミニHDMI・HDMI変換ケーブルがない人は買わなきゃだめですけどね。

USB TypeCポートに有線コントローラを挿し込んだり、2.4G無線ゲームパットをつなぐこともできます(BluetoothやWi-Fiは非対応)。

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Anbernic社のカードスロットはデュアル搭載。RG35XXも2つなのでゲーム用とシステム用に分けることができる
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo
 

Anbernic社といえば、何年も前からmicroSDカードスロットはデュアル搭載です。

RG35XXも例外ではなくて、OS用とゲームファイル用に分けて使えます。これならシステムアップグレードでゲームが消える心配もありませんね。

逆にMiyoo Miniはポートが1個だけなのでOSもゲームファイルもごった混ぜ。それでも問題はないんですが、定期的にOSやRetroArchのフロントエンドを変えて楽しみたい人は、なかなかやりづらい面もありました。

エミュレーションについてのご注意

任天堂、セガ、SONY、Microsoft(マイクロソフト)のゲーム機の場合、ゲームはカートリッジ、ディスク、公式オンラインストアからDLで入手します。非公式のレトロゲーム機の場合、ゲームはROMファイルをエミュレータで再現するスタイルですので、ROMイメージの吸い出しやエミュレータの設定をいじる一定のテクニックが必要です。

また、ROMの抽出は法的にグレイゾーンで、エミュレーションソフト、RetroArchなどのフロントエンドは特に法的問題もないまま開発されましたが、任天堂はじめ企業側がROMダウンロードサイトを閉鎖する事例もあります。違法ダウンロードに手を染めないよう気をつけましょう。


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Garlic OSでLinuxが劇的に使いやすくなる

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Miyoo Mini(右)のOnion OS風のGarlic OSを入れるとAnbernic RG35X(左)の操作感が格段にUP
 

中国のエミュレーター機はソフトが物足りないってよく言われます。

確かに、他端末の洗練されたソフトで目が肥えてるゲーマーから見たら性能も操作性も今一歩です。

最近はAndroid搭載機が増えてきて前よりはよくなっていますけどね。

Miyoo Miniの場合、こうしたソフト面の不足を補ってくれたのが、Miyoo Mini発売から約1か月遅れて登場した「OnionOS」でした。

これは外部の開発チームによるOS。Miyoo Miniはこれがあったから売れたと言っても過言ではありません。

初期設定のOSからこれに入れ替えるとUIが格段にクールになります。また、個々のエミュレーターがMiyoo Miniの画面と本体のサイズに合わせて最適化された設定になるので、RetroArchが見違えるほど使いやすくなるんですね。

Miyoo Miniでありながら、UIとデザインに膨大なお金を注ぎ込む任天堂みたいな企業のゲーム機を触っているかのような感覚で楽しめるので、ビギナーでも抵抗なく入れます。

しかもインストールは簡単&無料(手順はOnionOSのGitHubRetro Game Corps参照)。

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左)ストックOS/右)Garlic OS(洗練度では上)
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo
 

同様に、Anbernic RG35XXも初期OSのまま使っても悪くはないのですが(もっとひどいのレビューしたこともある)、洗練度はイマイチなんですよね。

で、物足りない人は、Black-Seraphというデベロッパーが開発したOnionOSならぬ「GarlicOS」ってのがもう出ているので、そちらを試してみるのもアリです。

OnionOSほど多機能ではないけど、RetroArchが急に垢抜けたUIになるし、各種エミュレータの設定変更も簡単になって、ボタンのショートカットもいろいろ使えたりと、RG35XXの楽しみ方、遊べるゲームの幅がぐっと広がりますよ。

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GarlicOS導入後のRG35XX。省電モードと高性能モードを一発で切り替えられる。処理性能のレベルは電池アイコンでチェック
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo

GarlicOS最新版は粗も少々ありますが(バッテリー残量の表示、HDMI出力の問題など)、HOME画面でSelect(選択)ボタンを押すだけでオーバークロッキング(処理性能優先)モードとアンダークロッキングモード(省電優先)を切り替えられるのが便利で、もうこれだけのためにGarlicにしてもいいと思うほどです。

個人的に歴代ベストに入るレトロゲーム『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』 をやるときにはオーバークロックで快適に楽しんで、シンプルなゲームは省電モードで4~5時間のバッテリー駆動時間いっぱいまで楽しむ…といった使い分けができます。

GarlicOS無料ダウンロードはこちら。インストールはRetro Game Corpsの手順に従いましょう。


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こういうレトロゲーム機があってもいい

買いかどうかを考えるときには、自分が遊びたいレトロゲームの種類をまず考えてみることが大事です。

RG35XXのチップはひと昔前のクアッドコアのARM Cortex-A9プロセッサですし、メモリは256MB、ジョイスティックなしですからね。

となると初代プレイステーション以前のタイトル(SNES、NES、Genesis、Game Boy、GBAのゲームなど)は大丈夫だけど、DreamcastのタイトルやN64のゲームにはちょっと厳しいかなと思います。

一番合うのは、8bit、16bitのタイトルでしょう。

Miyoo Miniよりいい端末なのかと問われると、答えはもちろんYESです。

Miyoo Miniのちっちゃなサイズ感は好きだけど、RG35XXのほうが手になじむし、造りもしっかりしてて、Anbernicの努力の跡が感じられます。

なんならカスタムOSで操作性を上げることもできますし。

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ボリュームボタン。音質はまあまあ。音にこだわる人のためにイヤホンジャックも用意した
Photo: Andrew Liszewski | Gizmodo

ただ、Anbernic RG35XXのほうがMiyoo Miniより「買い」かと聞かれると答えに窮してしまいますね。

というのも、Miyoo Miniは2.8インチのLCD画面の供給元が確保できなくて入手困難になってますから。

公式のツイートによればMiyoo Miniは2023年2月5~10日の200台の出荷をもって最終とのこと。その後はMiyoo Mini Plusのみの販売と書かれていますが、標準のMiyoo Miniの復活については何の言及もありません。

Miyoo Miniが消えた穴を埋めるタイミングで出たのがAnbernic RG35XXではありますが、Miyoo Miniが本当に製造中止になったかどうかも不明だし、後継のMiyoo Mini Plusは画面大きめで今のところ在庫切れの心配もないので、いま買える製品同士で比べるほうが正解かと。

Miyoo Mini PlusとAnbernic RG35XXのどっちが買いなのかについては、近いうちにMiyoo Mini Plusのレビューもやりますので、そのときにぜひ掘り下げてみたいと思います。

ギズモード・ジャパンより転載

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(取材・文/GIZMODO

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