【松澤千晶のアニメめくるめく世界】セーラームーンという名の“義務教育”

2014/07/16 12:00


gacha2こんにちは、松澤千晶です。私はアニメを見ることが大好きなのですが、私くらいの世代(20代後半から30代前半くらい)ですと、「美少女戦士セーラームーン」は女の子にとって義務教育のようなものでした。少し大袈裟な表現になりますが、そのくらい、女の子はセーラームーンを避けて通れなかったのです。もしかしたら(一部の)男の子もそうだったかもしれません。

そんなセーラームーンが今年、20周年プロジェクトとしてコラボ商品やミュージカルなど様々な展開を繰り広げ、新作アニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」もスタートするなどして話題になっています。初代からセーラームーンを見て育った世代はもう立派な年齢ですから、こうしたものの作り手側にまわっていてもおかしくありませんし、最終シリーズのセーラースターズを見て育った方々は、社会人になる頃、もしくはなった頃でしょうか…思えば、大人に成りましたよね。振り返ると初代、R、S、SuperS…と夢中になったシリーズで世代が解るのもセーラームーンの面白いところです。

こうして子供の頃に夢を与えてくれたセーラームーンですが、新作アニメに関しては、やはり懐かしむ視聴者が多いのでしょうか。個人的にはプリキュアやアイカツ(人気の女児向けアニメ)のようにテレビ放送で子供たちに見せてあげて欲しいなとも感じたり…小学生の頃に自分がセーラームーンからもらったパワーって計り知れないので、そういったものがいつの時代も世に溢れていたら素敵だなと思うのですよね。

何はともあれ、セーラームーンで育った世代としては教科書が更新されたようなものなので学び直さなければなりません。そこで今回は、一ファンとして新作から感じたことについて、旧作のエピソードを織り交ぜながら簡潔に。

ただ、この作品に関しては私よりはるかに詳しい方々もたくさんいらっしゃると思うので、そのあたりはどうか、ゆる~くお楽しみくださいね。


■セーラームーンCrystalを見て

まず新作アニメは冒頭からプリンセス・セレニティの登場で勘極まりました。セーラームーンの真髄はここです、プリンセス・セレニティとプリンス・エンディミオンの果てしない愛の物語。終盤で明らかになる設定ですが、月のお姫様と地球の王子様のお話なのですよね。

この2人を見ただけで私は、初代セーラームーン最終話の名場面、クインベリルに支配されたエンディミオンにセーラームーンが星のオルゴールを両手で差し出して「お願い、思い出して…」というシーンが一気に蘇りまして…もう、目頭が熱くなりました。幼い頃の私は何度このシーンをマネたことかわかりません。それも壁に向かって。当時、セーラームーンごっこは女の子の必須科目だったのです。

話をCrystalに戻すと、旧作よりはちょっぴり大人びたうさぎちゃんですが、2014年でも三つ折りソックスは健在で、元基お兄さんは相変わらずゲームセンターでアルバイトをしていたので安心しました。時給は当時より上がっていそうな気がします。

そして、旧作で象徴的だったあの主題歌が、新作ではももいろクローバーZの歌う「MOON PRIDE」に変わりましたね。個人的に「ムーンライト伝説」は物凄く恋しいですが、私は「MOON PRIDE」も新しい伝説の幕開けらしくて魅力的だと思います。同じ設定、同じ主題歌なら、もう再放送で良いのでは? となってしまいますし、Crystalは原作に沿った別物として楽しみたいですね。

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■セーラームーンという物語

やはり、セーラームーンは女の子同士のやりとりが非常に印象深いです。この作品で「百合」という関係に目覚めた方も多いのではないでしょうか。旧作では各エピソードでそれぞれのキャラクターとの友情や初々しい恋模様が描かれ、それが終盤戦の涙を誘う展開に繋がります。

これを機に初代セーラームーンの終盤、44話、45話、46話を見返しましたが、あれはもう国宝ですね…今見ても喉の奥からこみ上げてくるものがあります。最終決戦にて力を使い果たし、氷のもとに横たわり、乱れた髪が顔にかかる戦士たちの穏やかな最期の表情…あのシーンは脳裏に焼き付いて離れません。

ちなみに、この最終回の演出が後に「セーラームーンR」の監督となる幾原邦彦さん。その後、セーラームーンシリーズ卒業生はこの幾原監督の「少女革命ウテナ」へ進む方も多いと思うのですが、この方が描かれる女の子のやりとりは実に味わい深いものがあります。

思春期の女の子は成長すると共に恋愛と友情どちらを取るかといった壁に当たるものですから、そういった、セーラームーンシリーズではあまり描かれていなかった女の子たちの葛藤や憎悪のようなものが「少女革命ウテナ」で酷なほどに描かれていて、まさにこの流れは思春期の女の子の全てだと私は思っています。そして大人になって今度は家族をテーマにした「輪るピングドラム」に絡め取られるのです。幾原監督の作品は実におそろ…素晴らしいですね。このあたりは需要があればじっくり書き連ねたいところです。

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■何故、今セーラームーンなのか?

アニメは、その時代を表す鏡の世界のようなものだと私は思っています。現実の真逆にあるけれど、そこに何らかのメッセージ性を感じるもの。ですから、改めてセーラームーンという名作が何故、今になって蘇ったのか、見ている人たちに何を伝えたいのか、今後どのように描かれてゆくのか非常に楽しみですね。

余談ですが、旧作ではムーンスティックを使ってセーラームーンに倒された敵は、最後に「リフレッシュ!」と叫んで消えてゆきます。まさに今の私たち、現代人にもリフレッシュが必要なのかな…なんて。難しい事は考えず、まずは楽しんで、そこから発見や学びを得られたら素敵ですよね。そう、子供の頃のように。

セーラームーンに育てられた私も、今では立派な大人になりました。今まで本当にありがとう、セーラームーン! そしてこれからは「大きなお友達」として、よろしくね、セーラームーン!

パワーアップした大きなお友達は、ガチャガチャをついついコンプリートしてしまいます。(※トップ画像参照)

(文/フリーアナウンサー・松澤千晶

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