往年の少女ファン歓喜!40年ぶり新作「ポーの一族」とは
往年の少女漫画ファンを驚かせるニュースが4月28日、飛び込んできた。萩尾望都の代表作「ポーの一族」の新作が、40年ぶりに発表されるという。
■作者は萩尾望都
この作品が発表されたのは1972(昭和47)年から1976(同51)年にかけて。40年前の作品ということになるが、重厚な作風が当時の少女たちをとりこにした。
作者は、大島弓子・竹宮惠子・山岸凉子らと並び少女漫画界に革命を起こしたとされる「花の24年組」のひとり・萩尾望都。「ポーの一族」のほか「トーマの心臓」「11人いる!」が初期の代表作だ。
「少女」ならずとも、少年誌に掲載された「百億の昼と千億の夜」や野田秀樹が舞台化した「半身」、菅野美穂主演でドラマ化された「イグアナの娘」などを思い出す人も多いだろう。
人の心理を描くディープな作品の数々は、作者自身の内面心理を反映させたものも多いとされる。 主役を男性が務める作品が多いのも、当時の少女漫画としては珍しい。
■「ポーの一族」とは
「ポーの一族」も14歳で吸血鬼にされてしまった少年・エドガーが主役。「年をとらない子ども」を描きたいという作者の思いを反映させたコンセプトのもと、ストーリーが展開する。
エドガーは、欧州を舞台に200年余りの時を超え、異形かつ永遠の14歳として人間の世界を生きることになる。
「何も産まずに、なぜ生きるか」という苦悩と、お互いに分かり合えないことから生まれる疎外感や他人と心を交わすうちに生まれる人間としての感情がない交ぜになった複雑な思いとを同時に抱えるエドガー。
その姿には、協調性を重んじる風潮のもと、個性を抑えて生きることを求められがちな現代の少年少女に通じるものがあって古さを感じさせない。
■掲載誌は5月末発売
新作「春の夢」前編・40ページが発表されるのは、5月28日に発売される「月刊フラワーズ」(小学館)7月号。併せて同号では、盟友・山岸凉子と萩尾の対談も読むことができる。
新作の発表を控える5月10日には、当時の装丁で再現された「ポーの一族 復刻版」全5巻(各463円)や限定生産のポストカード付きボックス版(2800円)の発売も。
40年の歳月を経て「またエドガーに会える」と喜ぶ往年のファンのみならず、リバイバルで若いファンからも注目を浴びそうだ。
(文/しらべぇ編集部・上泉純)