ピーマンはやっぱり「子供の敵」?食べられなかった人の割合は
「江川、ピーマン、北の湖」という言葉がある。これはかつての子供たちが大嫌いなものを指している。
江川卓氏と故北の湖理事長は、たしかに嫌われていた。江川氏は当時のドラフト制度の穴を発見してそれを利用したに過ぎず、現役時代の北の湖はあまりに強すぎたというだけだ。それでもこの両者は、とことんまでに悪口を叩かれた。
だが、ピーマンはどうだろうか。「子供の嫌いな食べ物」として昔から名が挙がっているが、その実態を深く考える人は少ない。
■意外にみんな食べている?
そこで編集部では、「子供の頃ピーマンが食べられなかったか」という調査を取った。「はい(食べられなかった)」と答えたのは、全体の20.8%。意外に低い数字である。
どうやら「子供はピーマンが苦手」というのは「他の野菜と比べたら敬遠される傾向にある」ということらしく、大多数の子供を絶望させるようなものでは決してないようだ。
■歴史の浅いピーマン
そもそも、ピーマンという野菜自体が日本の食卓に定着したのは1960年代以降。それ以前にもあるにはあったが、一般家庭には馴染みのないものだった。
たとえば同じナス科トウガラシ属のパプリカは、料理通の家庭くらいしか使わないだろう。神保町の古書店に行けば戦前の料理本が売られているが、それを読んでもピーマンを使った料理はほとんど出てこない。
つまり、日本人にとってのピーマンは歴史が浅いのだ。となるとその調理法はまだ確立し切っていないと見るべきで、やがてはピーマンを使った素晴らしい料理が各家庭に普及するかもしれない。
■コロンブスとピーマン
ちなみにナス科トウガラシ属の植物は南アメリカ原産だが、それをユーラシア大陸に伝えたのはあのクリストファー・コロンブスである。
コロンブスは、当時「新世界」と呼ばれたアメリカ大陸地域からあらゆるものを持ち帰っている。ゴム、トウモロコシ、そしてトウガラシ。つまりピーマン嫌いの子供たちにとって、コロンブスはパンドラの箱を開けてしまった人物なのだ。
「嫌いなものの代名詞」ピーマンだが、その中には歴史という名の果肉がぎっしりと詰まっている。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年4月22日~2016年4月25日
対象:全国20代~60代の男女1,365名(有効回答数)