温泉マニア必見!那須の「廃墟」に湧く乳白色の絶品湯
世間はゴールデンウィーク(GW)真っ只中。観光地はどこも激混みで、せっかく遠出しても人の波に飲まれ疲れてしまう。
リラックスしたいと温泉に行っても文字通りの「芋洗い」状態で、リラックスどころではない。 そんな思いを抱えている人も多いと思われるが、GWの観光地でも空いている温泉スポットは存在する。
■超人気観光地「那須」の外れ…観光地感はゼロ!
そのスポットは、栃木県の一大観光地「那須湯本温泉」の外れにある。幹線道路から一本入った住宅街の道を、さらに奥へ。車が通れなくなる細い砂利道に到着し、そこからは徒歩で行くことになる。
人気のない鬱蒼とした道には、捨てられているボロボロの車もあり、暗黒の世界に足を踏み入れたような不安な気持ちに…。そこには、まったく「観光地感」はない。
■崩れた廃墟感がスゴい「老松温泉 喜楽旅館」
歩くこと約3分。半分崩れかけた…いや、もうすでに崩れた廃墟が目の前に。
人気のない空間に、崩れた廃墟。じつは、ここが目的地の「老松温泉 喜楽旅館」なのである。
事前情報がないと素通りしてしまいそうだが、廃墟マニアも熱狂しそうなほどのビックリな外観である。
■館内も不気味な空間
館内は、外観同様にボロボロ。昼間だが真っ暗である。「いい感じに年季の入った」と言いたいところだが、一部壁がはがれていたり、床が抜けたりと、廃墟探訪をしているようだ。
恐怖すら感じる不気味な空間。もう温泉どころではない。
■湯治場的なひなびた浴場
楽しい楽しい廃墟探訪の先、浴室へたどり着く。男女別の浴室は、年季こそ入っているが、意外にもキレイだ。絶妙にひなびた木の浴槽と壁は、あたたかみすら感じる風情ある空間。昔ながらの湯治場のような、癒しの雰囲気である。
そして何より、自分たち以外お客さんがいない。休日に訪れてもまったく混まないのだ。
■乳白色の硫黄泉
湯治場的な雰囲気に癒されつつ、いざ入湯。正方形の湯船に注がれたお湯は「乳白色の硫黄泉」。やさしく香る硫黄が、アロマテラピーのようである。
弱アルカリ性の湯質は、肌触りもなめらか。お湯に包み込まれるような感覚の名湯である。実際、温泉マニアの中では「那須の珍湯」として有名で、お湯のよさは折り紙つきなのだ。
受付で言われた「ぬるめのお湯なのでじっくり入って温まってください」というご主人の言葉がとても印象的で、お湯へのこだわりを感じられた。
何度も廃業の危機を乗り越え、近々営業をやめるとの噂も耳にする「老松温泉 喜楽旅館」。いつまでも残っていてほしいと思える「那須の珍湯」である。
【老松温泉 喜楽旅館】
住所:栃木県那須郡那須町大字湯本181
日帰り入浴(8:00~20:00):500円
(取材・文/しらべぇ編集部・小松歩)