高齢者がグラビアに!雑誌「つるとはな」が意外に楽しい
とっくに80歳を超えた日本人の平均寿命。長寿は喜ぶべきこととはいえ、先が見えにくいご時世では、喜んでばかりはいられない。年齢を重ねることをネガティブに考える人もあるのではないだろうか。
そんな中、「年上の先輩の話を聞く小さな場所」をテーマに据えて、こんな雑誌が発行されている。2014年10月創刊の「つるとはな」だ。
■どんな雑誌?
「つるとはな」は2016年5月現在、第3号が最新。 ライフスタイル誌の体裁で、グルメ、ファッション、旅、ペットなどの切り口から高齢者の生きざまにスポットを当てている。
「学校や会社は、わたしたちの一生の場所ではありません。 最後の旅立ちは、うまれたときと同じ、ひとりです。 学校や会社とはべつの、年上のひとの話を聞きたい。 自分のいまを見直したり、これからを考えたい」 (巻頭「ごあいさつ」より)
なるほど、ページをめくると70・80代の「年上の先輩たち」がはつらつとした姿を見せている。着飾らないおしゃれを楽しむ、同好の士たちと趣味を楽しむ、ひとりでお茶をする。どのグラビアにも高齢者の笑顔があふれる。
「年上の先輩」が「年下の後輩」へ「年齢を重ねるのも悪くないわよ」と語りかけているかのようだ。
■「新しさ」にも着目
慣れ親しんだものを大切にする一方で先輩たちは、「新しいもの」にも着目。「心も体も『軽やかになる方向』へ」とつづり、「ゴアテックスのコート」「MVNO」「防水ワイヤレススピーカー」「クロームブック」などを紹介している。
機能や操作性に優れる「新しいもの」は、若い世代を意識して作られたものとは限らない。万人に役立つアイテムとして高齢者にも目を向けててもらいたいということなのだろう。
■明るい読後感
グラビアもあるが本文がより目立つ同誌は、暇な時間にぱらぱらっとページをめくるというわけにはいかない。どちらかといえば、腰を据えて読むタイプの雑誌だ。
じっくり読み進めてみると、年齢を重ねるのも悪くないという気持ちになってくる。「つるとはな」は、残りの人生を大いに楽しむ高齢者の姿を通じて、これから老いを迎える世代にエールを送る一冊なのかもしれない。
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(文/しらべぇ編集部・上泉純)