「キツネ踊り」に「アヤ踊り」…大分県姫島の盆踊りが不思議
大分県姫島では、古くから伝わる踊りと毎年新しく創られた踊り、合計50種類ほどを一度の祭りで踊るという。その数にも驚くが、伝統的な踊りは「アヤ踊り」「キツネ踊り」など、変わったものが多い。
いったいどんな踊りなのか…気になったしらべぇ取材班は、姫島へと向かった。
■アヤ踊り
取材班が訪れたときは「姫島かれい祭り」が行なわれており、それにあわせて「アヤ踊り」と「キツネ踊り」が披露された。
アヤ踊りは男女でペアになって、男性が竹(アヤ棒)を鳴らしながら激しく踊り、女性は一般的な盆踊りのように優雅に舞う。ゆったりと動く女性の間を、荒々しく早い動きの男性がくるくると動き回り、ペアの組み合わせはどんどん変わっていく。
まったく別の踊りが混じり合う不思議な光景が、目の前で繰り広げられるのだ。
踊りだけでなく、格好も男女で対照的。女性は着物姿に下駄、傘をかぶっているのに対して、男性はほっかむりに上半身裸姿だ。
「アヤ踊り」は、あやとりと同じく布を作る際のたて糸とよこ糸の関係「綾」からきているという説や、「アヤ=漢」であり朝鮮系の踊りが由来という説などがあるそう。
ちなみに踊りの音楽は、太鼓・唄ともにその場で演奏され、合間に「カーン!」と竹を打ち鳴らす音が気持ち良く響き渡る。
わずか2、3分で終わってしまったが、周りからは「もっと見たい!」という声が多く上がっていた。
■キツネ踊り
キツネ踊りはアヤ踊りと異なり、子供たちがキツネに扮して跳ね回る。顔を白く塗り、キツネのひげを顔いっぱいに描いた姿は、なんともかわいらしい。
姫島盆踊りでも、キツネ踊りが一番人気なんだとか。
子供たちはちょうちんを吊るした傘を持っており、お尻には立派なしっぽがニョキッと。跳ねるたびにしっぽもフリフリ動くため、ついつい目がいってしまう。
先頭はキツネではなく、浴衣、羽織、編笠、下駄姿の少年。
この先頭は「庄屋」を表しており、「キツネが庄屋をからかって踊る=横暴な庄屋への風刺」を意味しているという説や、キツネが庄屋を騙し、それを知りながら庄屋も楽しんでいるという説などがあるそうだ。
どちらの踊りも島の人々から愛され、現在まで伝わってきている。姫島盆踊り自体は、鎌倉時代に始まったものが由来だとか。8月14日〜16日には姫島盆踊りが行われる。ユーモラスな踊りが見たければ、ぜひ訪ねてみてほしい。
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(取材・文/しらべぇ編集部・たつきあつこ)