大山のぶ代さん老人ホームへ 介護福祉士が語る認知症の現状

2016/06/09 20:00


認知症
kazoka30/iStock/Thinkstock

先日、ドラえもんの声でお馴染みの声優・大山のぶ代さん(82)が老人ホームへ入所したことが、夫である俳優・砂川啓介氏(79)の口から明かされた。

大山さんといえば、2012年の秋にアルツハイマー型認知症と診断されて以降も施設に入ることなく、砂川氏の献身的な在宅介護で過ごしていた。

しかし、砂川氏が尿管がんと診断され、入退院を繰り返しながら抗がん剤治療を続けざるを得ない状況から、大山さんの老人ホーム入所を決断したという。

改めて老老介護や認知症の人の介護の大変さが浮き彫りとなったが、しらべぇ編集部では実際に介護福祉施設で働いている20代の女性介護福祉士に、認知症の人の介護について取材した。



■ 認知症患者を知ること

Q.認知症の人は、施設にもたくさん入所されている?

「認知症の人は軽度から重度までたくさん。デイサービスでもいます。子供家族と一緒に住んでいる人とか、それこそ老老介護で、奥さんや旦那さんの世話を一日中看るのが大変な人なども利用されています」


Q.認知症の人の対応で、大変だったことは?

「認知症の人とは意思疎通が難しいです。たとえば施設に来て、今いる場所がどこなのかがわからず聞いてくることは日常茶飯事。お風呂を嫌がったりご飯を食べないことも。あとは、拒否されて叩かれたりもします


でも、認知症の方は基本純粋なので、そういった行動にはちゃんと理由があるんですよね。だから、嫌がるような態度をとった場合は、環境を変えたりします。食堂にいたら、テレビのある部屋へ移動したりだとか。そうすると気分転換にもなるみたいです」


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■認知症患者と家族の関わり方

Q.認知症の人の家族は、どうして老人ホームを利用するの?

「人それぞれではあります。老老介護の方は、介護する側も病気を患っていたり、高齢で体力がない場合も多いです。


それこそ認知症だと、どんな行動をするのかわからないことも多いですから、心身ともに疲れてしまわないよう老人ホームを利用されている方も多いですね。利用者さんの子供家族も、仕事で一日中介護ができないような人が利用していることが多いです」


Q.認知症の人の家族は、どのように関わっている?

「家族の方は、定期的に施設に来て様子を見に来る人もいれば、まったく来ない人もいます。デイサービスのほうでも、ある利用者さんの場合、家までお迎えに行くと義理のお嫁さんが玄関先までは送りに来ますが、『いってらっしゃい』の一言も言わずむすっとした顔で出てこられて。


でも利用者さんは、自分が嫌われてることがわからないので『いってきます』とニコニコしながら乗車されます。そういうのを見ていると、気持ちを察することができなくて良かったと思う反面、やるせなくなりますね


Q.逆に良かったことは?

「先ほど『基本純粋』と言いましたけど、名前はわからなくても顔を覚えてくれてニコニコ笑いかけてくれたり、意思疎通ができなくても、表情や態度でどういう気持ちかがわかるので、そういう時は嬉しさを感じます。


まったく喋らなかった利用者さんが突然『わっ』と脅かしてきたり、くすぐってちょっかい出してきたり。結婚してることを忘れて『ケーキを食べに行きませんか?』と、照れながらお誘いを受けたこともあります」


認知症の人を24時間365日介護するということは、どんなにその人を大切に思っていたとしても相当な苦労が必要だ。このような現状を知るだけでも、介護の大変さがわかると思う。

自分の親や親戚がそうなったら、あなたはどうするか。考えてみてはどうだろう。

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(取材・文/しらべぇ編集部・山吹彩野

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