新元素の名は「ニホニウム」 なぜニッポニウムじゃないの?
理化学研究所が世界に先駆けて発見し、日本が初めて命名権を獲得した新元素(原子番号113番)の名称案が「ニホニウム」であることがわかった。
国際純正・応用化学連合が8日深夜に発表し、5ヶ月間の意見公募期間を経て正式に決定する見通しだ。
■なぜ「ニッポニウム」ではない?
米・露などの研究チームとの発見競争に日本チームが勝利したと報じられた際、新元素名は「ジャポニウムではないか」という説が有力だった。
しかし、理研チームは「日本初」となる元素の名前に、英語ではなく母国語を選んだようだ。とはいえ、なぜ「ニッポニウム」ではなく「ニホニウム」なのだろうか?
たとえば、日本銀行が発行する紙幣には「NIPPON GINKO」と標記されており、ジャパンでないなら「ニホン」より「ニッポン」のほうが世界に通じやすい気も。
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■幻の元素「ニッポニウム」が存在した
じつは、元素名には「過去に使用された名前は使えない」という規則がある。かつて、「ニッポニウム」と発表された後に取り消された「幻の元素」があったのだ。
化学者の小川正孝(後に東北大学第4代総長)はトリウム鉱石から新元素を探す研究を行い、1908年(明治41年)に43番目の元素として「ニッポニウム(Np)」を発表した。
しかし、研究機材の不備などから、43番目の元素は地球上に存在しないことが判明。43番は、後に人工的につくられた「テクネチウム」の番号にあてられた。
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■じつは海外に先行していた
その後、ドイツのチームが1925年に原子番号75の元素を発見。「レニウム」と命名された。しかし、その後も検証作業が続けられた結果、小川が発表したニッポニウムにはレニウムだった可能性が高いことが判明。
小川の発表は、ドイツでの「発見」を17年先行していたことになる。
100年の時をへて、晴れて日本の研究者が獲得した初めての「元素命名権」。基礎科学の発展に寄与した人々の歴史に思いを馳せながら、研究チームの努力と成功を祝したい。
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(文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)