自殺者も出ている「誕生日ブルー」 その対策を専門家に聞いた
誕生日といえば楽しいものだ。しかし、大人になり家族から離れると、恋人や伴侶がいなければ祝われなくなってしまう。
これまでは当然のものとして受け入れられてきたはずだが、このロスに耐え切れず「誕生日ブルー」となった人が自殺をしてしまうケースが徐々に増えているという。誕生日目前に自殺するといえば太宰治を想起する。
今の時代は、それほどまでに厭世ムードに包まれているのだろうか。深刻化しつつある、この新たな社会病理の対策はないのか。しらべぇ取材班は心理カウンセラーの園絵氏に話を聞いた。
■誕生日ブルーはなぜ起きる?
「FacebookやTwitterなどSNSの普及によって、誕生日ブルーの悲しみの色は濃くなっています。誕生日を盛大に祝ってもらえる人と、そうでなく質素に誕生日を過ごす人のプライベートが可視化されてしまっているからです。
友人が充実したプライベートを過ごしているのをみると羨ましさで胸がいっぱいになります。それと同時に、自分の生活を振り返ったとき、そこに落差があると寂しさで埋め尽くされます。
それが楽しいはずのバースデーを哀しい色に染めてしまう『誕生日ブルー』の正体です」
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■対策は誕生日だと自覚しないこと
「誕生日に対する期待を減らす努力をすることです。膨らませば膨らませるほど、その期待が弾けたときの反動は大きなものになってしまいます。
スマホを触る時間が長い人は、バースデー関連の通知を切っておくほうがいいかもしれません。今は何気なく誕生日祝いの連絡が入りやすい時代です。それらが、誕生日であることをより強く自覚させてしまいます。
特別な日なのに、何もない平常の一日を過ごしてしまうことを理解すればするほど、悲哀の衝動に襲われてしまうことでしょう」
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■誕生日の固定観念を変化させよう
「誕生日は祝ってもらって当然と考えることをやめるようにしましょう。なにもないのが当たり前なんだと自分に徹底的に言い聞かせることです。そうして、最悪の状況を想定し続けていれば、心的ダメージを軽減させることができます。
あるいは自分で自分にご褒美をあげることも有効です。誰も祝ってくれないのだから、せめて自分で自分を祝ってあげる。それは決してむなしいことではありません。
過去を振り返り、未来を見つめなおすための一日にしてみることです。大人の誕生日は誰かに祝われることではなく、自分自身をよりひとつ高めるための一日にするものだと意識を変えてみることも効果的だと思います」
今までの誕生日の概念を新たなる概念へと塗り替える。まさに子供から大人へと意識を成長させていく。それが誕生日ブルーに立ち向かう第一のことのようだ。もちろん、祝ってもらえる友人がいる分にはそのほうがいいのだろうが。
面倒くさいかもしれない、照れくさいかもしれない。しかし、誕生日はやはり大切な日である。かけがえのない友達を誕生日ブルーに陥らせない為にも、サプライズを仕掛けてみてはいかがだろうか。
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(取材・文/しらべぇ編集部・モトタキ 取材協力:心理カウンセラー園絵)