相次ぐ中国船の領海侵入 写真と地図で見る「12カイリ」とは

2016/06/16 11:00


海上保安庁巡視船
©Similar-Image

鹿児島県・口永良部島の沖合で6月15日、中国海軍の情報収集艦と見られる船1隻が日本の領海に侵入。約1時間半にわたって航行した。同日、日本の海上保安庁に当たる中国海警局も3隻で尖閣諸島周辺の領海に入った。

南西諸島付近では近年、中国公船の領海や接続水域への侵入が相次ぐ。


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■領海、接続海域とは?

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※国連海洋法条約第7部(公海)の規定はすべて、実線部分に適用される。また、航行の自由をはじめとする一定の事項については、点線部分に適用される(画像は海上保安庁Webサイトのスクリーンショット )。

領海とは、領土の海岸線付近に定める基線からその外側12カイリ(約22キロメートル)までの海域のこと。国家の主権が及ぶ範囲として領土と同等の性質を持つ。

接続海域は、領海のさらに外側12カイリまでの海域。「沿岸国が、領土・領海の通関上、財政上、出入国管理上(密輸入や密入国)、衛生上(伝染病等)の法令違反の防止及び違反処罰のために必要な規制をすることが認められた」海域をいう(海上保安庁Webサイトより引用)。

いずれも「国連海洋法条約」への明記があり、日本はもちろん中国も同条約を批准済み。順守が求められる立場にある。


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■スカイツリーを基点にすると?

東京スカイツリーから見る富士山
画像出典:wikipedia

とはいえ、たびたび報じられる領海・接続水域の侵入は、現地から遠く離れた本土では身近な話題に上りにくいところがある。12カイリ=22キロも「肌感覚」でわかる距離とはいえない。

これを東京スカイツリー(東京都墨田区)の展望デッキ(高さ約350メートル)から富士山がある方向を望んだ場合、12カイリ=22キロは写真上の赤線で示した辺りになる。小田急線の喜多見駅(世田谷区)・狛江駅(狛江市)付近だ。

地図
©OpenStreetMap and contributors 地図はCC BY-SA としてライセンス

地図では、赤色の円で示したところがスカイツリーから22キロの範囲内。東上線では和光市辺りまでが、中央線では吉祥寺辺りまでが、それぞれ円内に入る。

羽田空港も円内に入るが、多摩川を越えて神奈川県側は、おおむね円の外側になる。


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■「あべのハルカス」からは?

あべのハルカスから見る六甲山
画像出典:フォト蔵 ©Hide

国内で最も高い超高層ビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)の展望台(高さ約300メートル)から六甲山(兵庫県)を望む場合では、12カイリ=22キロがちょうど山の麓に当たる。

写真では、芦屋市・西宮市の山手に広がる住宅地へ引いた赤線付近だ。

地図
©OpenStreetMap and contributors 地図はCC BY-SA としてライセンス

地図内に赤色の円で示すと、大阪湾の大半は12カイリ=22キロの外側。湾内の海上にある関西空港や神戸空港も円内には入らない。

なお計算上、海岸線から沖合を見たときに見える範囲は、身長160センチの人で5キロ以内。25階建てのビルに相当する高さ100メートルまで上ると、12カイリ=22キロより遠い約25キロ先まで見渡すことができる。

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(文/しらべぇ編集部・前田昌宏

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