増える民泊利用 ホストの稼ぎ「地方のパート年収」並みに
Airbnb(エアビーアンドビー)が6月15日、「日本におけるホームシェアリングに関する活動レポート」を発表した。いわゆる「民泊」で同社が提供するマッチングサービスには、国内経済を5,000億円余り押し上げる効果があるとしている。
■訪日客の7%が利用か
同社は、日本での「民泊」は世界で最も人気が高いとする。Airbnbを利用した訪日外国人(インバウンドゲスト)の数は急増。138万3000人に上り、昨年の伸び率は500%に達したという。
2015年に国内を訪れた外国人観光客の数は1973万7000人(日本政府観光局調べ)だから、7%がAirbnbを使った計算になる。
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■副収入が年収に匹敵?
同じく同社によると、「民泊」に場所を提供するAirbnbホストが、1年間にホスティング(ホームシェアリング)で得た年間収入額は、標準的なホストで122万2,400円。貸し出し回数は101回(泊)だった。ホストで目立つのは50代以上のシニア層。全体の14%を占める。
122万円という数字は、副収入ならかなりの額。最低賃金が時給700円を切る県がいまだに目立つ地方では、パートタイマーの年収にも匹敵する大金だ。
たとえば時給700円では、1日あたり7.5時間・月間20日間勤務しても、天引き前の年間給与総額は126万円である。
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■ 合理的なルール作りを
「民泊」については6月10日、観光庁と厚生労働省が合同で検討を進める「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」で、ホストが部屋を提供するときに適用される「一定の要件」を打ち出した。
打ち出した要件では、ホストが1年間に部屋を提供できる日数の上限を「半数未満(180日以下)の範囲内で適切な日数を設定する」などと明記。提供する部屋については、「個人の生活の本拠である(原則として住民票がある)住宅」に限ると規定している。
ただし「日数の上限」については、宿泊業界など民泊の影響を心配する側が「多すぎる」と難色を示す一方、不動産業界など推し進めたい側は「(少なすぎて)ビジネスとして成り立たない」と反発。これを踏まえ検討会は「(上限を)明記しない可能性が高い」との考えを示したようだ。
経済効果の高さもあって関心が高まりを見せ始めた現在、策定への模索が続く「合理的なルール」に期待したいところだ。
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(文/しらべぇ編集部・前田昌宏)