プロ野球・コリジョンルール見直しへ 浸透せず、批判相次ぎ
プロ野球で今年から導入された「コリジョンルール」が、早くも見直される。
コリジョンルールとは、三塁から本塁へ向かう走者の進路上に捕手が立ってはいけないというもの。これにより、三塁と本塁の間での走者併殺が難しくなった。
だが、この新規定は日本の選手やファンにほとんど浸透していない。さらにプロ野球OBの間では根強い反対論が存在するのも事実である。
■危険なタックルを阻止するルール
そもそも、なぜコリジョンルールが作られたのか?
メジャーリーグでは、走者による「併殺殺し」が相次いでいた。これは併殺を突破せんと、走者が捕手に体当たりする行為だ。明らかに捕手を傷つけるようなタックルやスライディングが横行した結果、大怪我をする選手まで発生。
これを防ぐために作られたのがコリジョンルールである。だがこれにより、走者の生還の可能性が格段に高くなった。
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■混乱する現場
コリジョンルールは日本のプロ野球の姿を変えてしまうものとして、ビッグネームからの反対が出ていた。悪質な走者に対しては個別にペナルティーを与えればよく、ルールを根幹から作り直さなくてもいいのではないかという意見も上がっている。
現場でも、コリジョンルールに対する戸惑いが相次いだ。アウト判定が審議によりセーフとなる例が相次いだ上、その審議自体に長い時間がかかってしまったことも。
これでは、円滑な競技進行に悪影響を与えてしまうのではないか? そのような意見が大きくなり、日本野球機構はルールの見直しに入った。
それによると、今後は「実際に衝突が起きたか」が重視される。すなわち捕手が走者の前に立ってアウトを取っても、警告の可能性はあるが判定自体は覆らないということだ。
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■日米の野球観の違い
メジャーリーグ発のルールを日本野球に当てはめるのはナンセンスでは、という声も。
かつて巨人に所属していたウォーレン・クロマティーが、『さらばサムライ野球』という著書で日米の野球観の違いを指摘。メジャーリーグでは決して優先度の高くない戦術が、日本では最重視されるのだ。それに伴って、日米の野球はまったく別物とクロマティーは述べている。
また、日本のプロ野球は外国人審判が定着しない国としても知られている。そうしたことから、コリジョンルールという極めて「非日本的」なものが今後定着するかは疑問だ。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)