小川菜摘vs池波正太郎 芸人の妻と亡師の書生「グルメ本」対決を読む

2016/07/29 20:00


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22日に発売されたダウンタウン・浜田雅功の妻である小川菜摘の『LOVE BLOG』 (KADOKAWA/角川マガジンズ)。

これは、Yahoo!ブログランキングで2年連続1位を獲得している彼女のブログを纏めた一冊だ。料理、ファッション、メイク、お気に入りの家具や雑貨を紹介している、いわゆるタレント本。

彼女のファッションはリーズナブルな中に数点の高級品を混ぜた「芸能人らしい」着こなし、家具や雑貨も一見手に入りそうだが、彼女の大きなこだわりは、なかなかマネができないと感じる。

しかし、ここで注目したいのが料理に関してだ。


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■ブログランキング上位にランクインする理由

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タレント本にある料理コーナーは「時短」「新米ママ」「キャラ弁」「残り物で作る」…等が多く見受けられる。

だが、これまでにも料理本を出している彼女の新作は素朴でありながらもカラフル。それでいて旦那や息子達という男だらけである「浜田家」の愉快な香りがしてきそうな料理が大半を占めている。

肉じゃが、餃子、唐揚げ等の基本的なものから、ボンゴレ、オリジナルのサラダコレクションまでの内容を扱っていて、男女問わず「作ってみよう!」という気にさせる魔法を持っているようだ。

グルメな人間でなくても、簡単で美味しそうに作れる彼女の料理方法に目配せをすると、ブログランキングの上位になっていてもおかしくはないと思わせられる。


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■食に対する並々ならぬこだわりを感じる一冊

では、現代のクッキングがこれなら、少し遡った料理について書かれている本といえば何であろう? すぐに思いつくのが、食道楽で知られている池波正太郎の作品である。

池波は、大した給料もないのに行きつけの店に赴く程の食通。『食卓の情景』『散歩のとき何か食べたくなって』等の著書もあり、食へのこだわりは並々ならなかった。それはもはや、池波の代名詞でもある。

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※画像出典:Amazon

そんな彼が愛してやまなかった店や宿を再訪し、亡師に今を伝える『池波正太郎の食まんだら』(佐藤隆介・著)は、長年池波の書生を務めていた佐藤によって、その食が微々たる変化をしてきた「今」を亡師に伝える内容。

時代は違えど人間の食に対する意識の高さは、その人物を表していると感じるのは私だけではないはずだ。

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(文/芥川 奈於

グルメコラム文学小川菜摘
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