Facebookを結婚式と海外旅行の写真だらけにした結果、更新をやめた若者たち
SNSの普及は、人々に高度なコミュニケーション能力と消費を求めるようになったと言われます。たとえばFacebook。積極的にBBQの様子や飲み会の写真をアップする人たちに対しては、ネットユーザーの間からしばしば「リア充アピール」と揶揄の声があがります。
しかし、こうした状況は「リア充アピール」しなければならないソーシャルメディアの宿痾を顕現しているとも言えます。
その中には、Facebookのコミュニケーションに辟易して更新を止めてしまった人も少なくありません。そこで今回はFacebookの更新をやめてしまった人たちに「私たちがFacebookの更新をやめた理由」を伺いました。
結婚式の写真をプロフィール写真にしてから…
貿易会社に勤めるAさん(29才・女性)は昨年の春ごろからFacebookの更新をぱったり止めてしまったといいます。Aさんは「友だち」たちのプロフィール写真に辟易したことがFacebookを離れた最大の理由だといいます。
「いつどんな時でも『ハレの場』と自分の『最高の一枚』の写真だけを並べるタイムラインに辟易したんですよね。その典型がプロフィール写真を結婚式の写真にする人。おそらく、結婚式で撮られた写真は自分が一番かわいく写っている写真なのでしょう。
でも、これって言い換えれば『これが私の最高地点です!』とさらけ出してしまっているようなもの。『これ以上かわいい私はいまのところありません』と言ってるようなものなんですよね。そんな最高地点を提出し続けるレースに不毛感を感じました」
結婚式の写真で埋められたプロフィール写真に辟易するのはAさんだけではない。一昨年結婚し、結婚式の写真をFacebookにアップしたという専業主婦のBさん(31才・女性)もFacebookを見なくなった一人だ。
「プロのカメラマンに撮ってもらったウェディングドレスを着た自分をプロフィール写真にしていました。でも、その後友だちの間で結婚ラッシュがあって。全員が結婚式の写真をプロフィール写真に設定したんです。自分の人生はこれからも続いていくのに、なんだか結婚式が自分にとってもっとも輝いていた瞬間だと宣言しているような感覚がして、なんだか虚しい気分になったんです」
Bさんは「友だち」がこぞって結婚式の写真をプロフィール写真に設定し始めたことに気づき、プロフィール写真を日常的な飲み会の写真に変更した。だが、わずかその1ヶ月後にはFacebook自体を見ることがほとんどなくなったという。
「結婚式っていう自分が一番かわいく映っているシチュエーションの大量生産性に気づいたんです。今後もみんなと同じようなものをSNSにアップして、それを「いいね!」し合っていくのが続いていく。そしたら今度はそのスピードを競い合うようになるんだなって思ったら更新なんてバカバカしい!って思ったんです」
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海外旅行の写真をあげるのは恥ずかしい
鉄鋼の専門商社で働くCさん(30才・男性)も更新をやめた一人だ。Cさんが更新をやめた最大の理由は「友だち」の長期休暇中にタイムラインに流れる海外旅行の写真にあった。
「仕事柄、海外に出ることが多いのですが、それをいちいちFacebookにアップなんてしないです。別に仕事ですし、よくあることですから。でも、国内で仕事している友だちは海外旅行に行くと必ず写真をアップするんです。それが1年で数少ない機会であり、スペシャルな経験として刻まれているからでしょう。
そこで気づいたんです。Facebookって、自分にとって何を貴重と感じているか、どんな場所にいることが非日常と感じているのかをおそろしいほどに表明してしまうメディアなんだって。
それに、『思い出』を唐突にみんなのタイムラインに表示させるのってどこかで暴力性を伴うんじゃないかって。だから海外に行っても、おいしい赤身肉を食べても、写真をFacebookにアップするのはやめました。
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じゃあ、どうすればよい?
3人の意見は、納得できる部分もありますが、どこか自意識過剰な側面も感じられます。Facebookの更新に対しては「自己満足なんだからいちいち文句を言うな」という反論も当然考えられますよね。
とは言え、これだけ他者を気にしながらSNSを利用しなければならない現代日本のコミュニケーションはかなり高度なものになっていることは間違いないでしょう。はたして2015年、私たちのコミュニケーションはどのように変貌していくのでしょうか。
(文/しらべぇ編集部)