「古式銃コレクション」ブームが来る?日本で手軽に珍銃発掘
我が国日本で銃を所持しようと思ったら、様々な手続きと審査を踏まなければならない。
だが古式銃は、規制の対象外。ひとことで言えば、古式銃の場合は人間ではなく物にライセンスが与えられるのだ。また、古式銃へのライセンス発行も各自治体の教育委員会が担当している。
そうしたこともあり、火縄銃も購入資金さえあれば比較的手軽にコレクションできる。そして運が良ければ、世にも珍しい希少銃のオーナーになるチャンスも。
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■古式銃とは?
ここで、「古式銃」の定義をおさらいしよう。
日本の法律で古式銃とされているのは、製造年が1867年までの国産銃か、あるいは概ねその頃までに製造された外国産銃。もちろん、発射機構は旧式のものでなければいけない。すなわち銃弾と炸薬が分離しているタイプのもの。
ところで、なぜ基準が「1867年」かというと、これには歴史的な根拠がある。戊辰戦争が始まったのは1868年で、その時アメリカから大量の新式銃が輸入されたからだ。
たとえば、今も民家の倉庫から旧日本軍の銃が出てきたりするが、その場合は現代銃なので即座に警察へ通報する必要がある。
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■こんな希少銃も国内に
古式銃のeコマース事業大手といえば『eソード』である。
この業者のサイトでは、時たま奇想天外な珍銃が売りに出される。しらべぇ取材班が調査した時も、3連発の火縄銃なるものがラインナップされていた。
製作時期は江戸時代後期とあるが、その用途がいささか不明瞭な代物。点火機構がひとつしかないから、これは「3発を順番に撃つ」のではなく「3発同時に撃つ」ものだろう。となると、弾込めも並の銃の3倍。あまり実用的とは言えない銃だ。
ちなみに、価格は150万円。さすがにこういう銃は値段が高い。国産ゲベール銃の場合は28万円という値がついていたので、これから古式銃コレクションを始めたいと考えている人にはそちらのほうがいいだろう。
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■欧米では「立派な趣味」
なお、アメリカやヨーロッパの場合は日本以上に古式銃コレクションが市民権を得ている。
日本の江戸時代に相当する頃、ヨーロッパは常に戦争を勃発させていた。ルイ14世やナポレオンを見ても分かるが、ほとんど趣味のように次々と戦争を行った歴史人物が近世ヨーロッパには何人もいる。
それは言い換えれば、各地に銃がばら撒かれたということ。ベルギーでは銃規制を強化する際、古式銃の法的位置付けについて大きな議論に発展したほどだ。
古式銃も刀剣と同じく、美術品としての価値を持った武器である。近年の日本刀ブームの影響が、古式銃にも波及するかもしれない。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)