おはぎ?ぼたもち?お彼岸に食べるアレには「4つの名前」が…
「棚からぼたもち」のことわざでも有名な、ぼた餅。もち米(もしくは、うるち米を混ぜたもの)を米粒が残る程度に半分くらいつき、小豆やきな粉、ごまなどの餡でつつんだ家庭的な和菓子だ。
春と秋のお彼岸には欠かせない風物詩とも言えるが、これには「4つの名前」があるのをご存知だろうか。
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①春:牡丹餅(ぼたもち)
小豆餡の色・形を、春のお彼岸の頃に咲く牡丹の花になぞらえたもの。江戸時代中期、1712年に編纂された百科事典『和漢三才図会』にも記述がある。
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②夏:夜船(よふね)
夜に港に到着した船は、暗闇のため、ついたかどうかがわかりにくい。ぼたもちは餅のように音を出してつかないため、隣近所の人にも「ついたかどうかわからない」という言葉遊びが語源。
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③秋:御萩(おはぎ)
秋のお彼岸の頃に咲く、萩の花の色・形をなぞらえたもの。こちらも、江戸時代の『和漢三才図会』に記されている。
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④冬:北窓(きたまど)
北向きの窓からは、この写真のように月が見えることはない。
「月知らず→つき知らず(ついたかどうかわからない)」ということで、夏の「夜船」同様の言葉遊びから生まれた呼び名。
夜船より寒そうなイメージから「冬」に選ばれたのだろうか。
現代では、ぼたもち・おはぎを除いた2つの名前は一般的ではなく、一部の和菓子店などで見られる程度。
しかし、季節の移ろいに親しみ、言葉遊びのウィットにも富んだこの国の先人たち。ご先祖さまを思うお彼岸だからこそ、あらためて覚えておきたい。
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(文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)