チャート逆走…韓国での究極の成功事例から考える「観客のライブ撮影行為」

2015/02/06 07:00


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K-POP界隈で「チャート逆走」という現象が注目を浴びている。

新曲が出ると通常、発売直後にチャート上位圏にランクインし、時間が経過すると後退していくもの。しかし、2014年8月に発売されたある曲が、2014年の暮れからチャートを逆走しはじめ、2015年1月にはついにトップを飾ったのである。その主役は、「EXID」というガールズグループ。逆走のきっかけは、ファンがイベントで撮影した動画だった



■ファンの撮影動画が約800万回再生

韓国の音楽チャートは、日本人がイメージする「CDの売り上げ枚数」のランキングとは少し異なる。人々が注目するのは複数の人気音楽番組が発表するランキングであり、それらはデジタル音源サイトでのダウンロード(購入)やストリーミングの回数、CDの売り上げ、テレビでの放映回数、視聴者投票などといった要素を総合して算出されている。

EXIDが2014年8月に発売した楽曲『Up&Down』は、当初はあまり注目されなかったが、2015年1月には『M COUNTDOWN』(Mnet)、『ミュージックバンク』(KBS 2TV)、『人気歌謡』(SBS)の3番組で1位に輝くという時間差の大ブレイクをみせた。そのきっかけとなったのは、YouTubeで2014年10月に公開された1本の動画だ。

動画は、EXIDが出演するイベントを訪れたファンが客席からスマートフォンと思われる機器で撮影したもので、メンバーのハニが『Up&Down』に合わせて妖艶に踊る姿がただただ撮られている。

この動画がSNSなどで広く拡散。2015年2月5日時点での再生回数は、実に約783万回となっている。これをきっかけにインターネット上で大きな注目を浴び、中毒性のある同曲が多くの人の耳にふれたことが“チャート逆走”につながったのだ。


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■海外では“公認”されている観客の撮影行為

日本人のK-POPファンがよく口にすることのひとつが、「(応援するアーティストが)韓国内で出てるコンサートライブの映像を見ると、お客さんはみんなスマホとかデジカメで客席から撮影してるけど、日本のライブでは撮影禁止なのが残念」ということ。

K-POPアーティストのみならず、日本で行われるコンサートでは、一部の“撮影解禁”しているアーティストを除き、観客の撮影行為にかんしては厳しく取り締まられる。その対象には、アーティストのパフォーマンスのみでなく「コンサート会場の撮影」も含まれるほど。アリーナ席などでは、スマホを出しただけでスタッフから注意される場合もある。

ちなみに、海外全体で広く見ても、“撮影禁止”に日本ほど厳しい国はあまり見られない。たとえばアメリカであれば、コンサートはもちろん、グラミー賞レベルの大きなアワードでも、ステージ下の観客の多くがカメラ機器でアーティストを撮影しながらパフォーマンスを楽しんでいる様子が確認できる。

さらに、海外でも人気の歌手・きゃりーぱみゅぱみゅが海外で行った公演の様子を見てみると、多くの観客がやはり撮影しながら楽しんでいる。そもそも、それを動画サイト上で見られること自体、海外のファンたちが撮影し投稿しているからなのだ。


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■日本でも既に成功事例

日本でも海外のこのような方針にならって撮影を解禁しているアーティストがいるが、それはほんの一部。しかし、観客がイベントで撮影した“奇跡の1枚”がSNS上で拡散したことをきっかけに爆発的な人気を得た橋本環奈(Rev. from DVL)のように、来場者の撮影行為がブレイクへとつながった事例は実際に日本でも見られる

今回のEXIDの事例は、チャート逆走(上昇)という究極の成功をもたらしたパターンだが、同じようなことは、“飽和状態”といっても過言ではないほど動画メディアが乱立し、数千万のSNSユーザーがいる日本でも十分起こり得ることだろう。音楽不況といわれて久しいが、使い方次第では“ファンの力”がその突破口になる可能性も大いにありそうだ。

※画像はYouTubeのスクリーンショットです

(文/しらべぇ編集部

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