「寝だめ」は効果なし!人間は「寝だめ」ができない!休日の正しい睡眠とは?
睡眠コンサルタントの友野なおです。
旧友から初対面の人まで、日々さまざまな人に接していると、「お休みの日は時間を気にせずお昼まで寝る」という、いわゆる「寝だめ」をしている方がとても多いことに驚きます。皆さんはいかがですか?
実は、人間は寝だめができません。日々溜まった寝不足(睡眠負債)を、お金のように「溜まったから一括返金!」というわけにはいかないのです。お休みの日、たくさん眠って平日の疲れをリカバリーしているはずなのに、何故か休日明けにぐったり疲れている……なんて経験ありませんか?
「お休み明けで仕事だからモチベーションが上がらない」という単純な問題ではなく、そこには重大な生理学上の問題が潜んでいるのです。
■寝だめが心身を蝕む本当の理由
私たちの脳の中に備わる体内時計は、光によって睡眠覚醒のリズムがコントロールされています。起床後に目の中に光を入れることで睡眠ホルモンの分泌がストップし、そこから約14~16時間後に眠気が訪れるよう体内時計が予約セットされます。
例えば、土曜日に遅い時間まで眠っていたとすると、必然的に就寝時刻も遅くなり、日曜日の起床も遅くなることに。日曜日の夜になると翌日から始める1週間に備えて早く寝ようとするのですが、体内時計が後退しているのでなかなか寝付くことが出来ません。
人間は眠りにつく時間を自分の意思でコントロールすることは不可能。月曜日の朝は起床しなければならない時刻が決まっているので、当然睡眠不足の状況がつくられてしまいます。
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■休日の正しい過ごし方
寝だめをすると睡眠覚醒のリズムが著しく乱れるため、質の悪い睡眠しかとれません。体内をメンテナンスする役割を果たす成長ホルモンやメラトニンなどが十分に分泌されないので、体を回復させるような眠りは得られないのです。疲れをとるため、という思いとは裏腹な状態になってしまいます。
週末の寝坊は、長くとも平日の起床時刻のプラス2時間までに留めるようにしましょう。まだ眠いようなら、15時までに20分程度の仮眠をとるようにするのが理想的。休日だからとダラダラ過ごさず、太陽の明るい光のもとアクティブに過ごせば適度な疲労が溜まるので、その日の夜もまたぐっすり眠ることができます。
良い眠りは、「量(時間)」と「質」の両極面から考えられます。ただただ長い時間眠ろうとするのではなく、規則正しい生活リズムを維持して質をマックスに引き上げることがポイントといえるでしょう。
(文/睡眠コンサルタント・友野なお)