おばあさんは転ぶと死ぬのに「お転婆」【黒田勇樹の妄想的語源しらべぇ】
昔は、ランドセル勝手に開けたりするからすごい嫌いだったけど、最近はすっかりおばあちゃん子、黒田勇樹です。こんにちは。
このコラムでは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べ、妄想をふくらませていこうと思います。
様々な言葉の在り方について、考察しているこの連載ですが、今回は筆者が長年気になっていた「あの言葉」について、考察してみようと思います。
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「おてんば」
男性で言うところの「ヤンチャ」に当たる、元気で活発な女の子をあらわす「おてんば」ですが、漢字で書くと「お転婆」なのです。
「いやいやいや!お婆さん転んだら、死ぬだろ!」
この漢字を初めて知った時の、筆者の第一声がこれでした。
お年寄りを舐めてはいけません。筆者の祖母も、バスから降りようとして、足を着いただけで骨折したことがあります。
うちの祖母に限った場合ではないことを裏付けるため、厚生労働省のホームページを確認したところ、全体の死因に対して、60代後半では10%にも満たない「転倒・転落」による死亡が、80代後半になると50%近くを占めていました。
もはや「お転婆」は「元気で活発な女の子」を指す言葉ではなく、「今にも死にそう」、「スペランカー」とほぼ同義の言葉とは思えてこないでしょうか?
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■「未亡人」
Photo by Nathan Jones
これも、よくよく考えると酷い言葉です。
伴侶を亡くした女性を指す言葉ですが、分解すると「未だ」「亡くなってない」「人」
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■残酷!
「お前もいつか死ぬんだよ」
そんなテンションの言葉にも、聞こえないでしょうか? パートナーを亡くした瞬間に「お前もいつか死ぬ」と呼ばれるなんて、悲しすぎます。
そして、なによりこの言葉が「女性にしか使われない」ということも、ひとつのポイント。何とも、差別的ではないでしょうか?
筆者は「体育はブルマでやるべき」「ナースはミニスカート」と、強く考えていますが、最近の男女平等を謳う社会の中で、こういう女性を蔑視した言葉こそ改善されていくべきなのではないでしょうか?
「お転婆」「未亡人」と「女性の死」にまつわる言葉について考察しましたが、うちの祖母ケイ子は、お転婆で未亡人なのに、今日もとっても元気です。
(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹)