トラブル増加のマッサージ【前編】国家資格所有者選ぶべき理由
年末になると仕事が立て込んで疲れがたまる、大掃除などで普段よりも体を使う――といったことから、「マッサージでも行こうかな」と思う人も少なくないだろう。
しかし昨今は、マッサージ店での施術が原因と思われるトラブルも増加。国民生活センターでは、2012年8月「手技による医業類似行為の危害」に関する報道資料をリリースしている。
また、厚生労働省は2016年3月「あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師と無資格者との判別について」を発表。
治療を行うためには、国家資格が必要であることを啓蒙するとともに、国家資格を持っているか見分けることができるよう、都道府県を通じて施術所に対し「資格情報の掲示」をお願いしている。
こうした現状について、自らも国家資格を持って治療にあたっているK氏が、匿名を条件に解説を申し出てくれた。前編では、一般には理解しにくい「治療を行える」資格を中心に、話を聞いた。
■4つの国家資格
「マッサージ、リラクゼーションで人の体に触れる業務を行うためには、本来国家資格が必要です。治療するという目的で人を触ることができ、開業権がある国家資格は4つ。柔道整復師、按摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師で、『鍼灸師(しんきゅうし)』とよく呼ばれますが、はり師ときゅう師は別の資格です。
柔道整復師には『柔道整復師法』、それ以外の3つの資格を対象とした『按摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師法』――通称『あはき法』というものがあり、資格とそれぞれの法律に基づいて治療が認められています」
――それらの資格があれば、マッサージによる治療が可能ということか?
「前述した法律の中で、正式にマッサージという文言が出てくるのは、按摩マッサージ指圧師のみです。ただし、柔道整復師は後療法として手による治療が認められており、はり師・きゅう師も前揉法や後揉法といって、患部を揉む行為自体は許されていますね。
保険治療が適用されるのは、こうした有資格者にいるところに限られますが、院長は国家資格を持っているけれど、スタッフは資格がないといったケースもあり、注意が必要です」
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■なぜ国家資格がない人が
――国家資格を取得するには、どういった手続きが必要?
「資格を取得するには3年間は専門機関――専門学校もしくは大学で学び、最終的に国家試験に合格する必要があります。整骨院(=接骨院、ほねつぎ)、鍼灸院、按摩マッサージ指圧院という名前の治療院の院長は、こうした過程を経て資格を取得したと考えてよいでしょう。
ただし今挙げたような資格を持っていても、いわゆるマッサージ店を開業したり、店長として働いたりしているケースもあります。そこもややっこしいんですよね。資格所有者にきちんと治療してもらいたい場合は、個別に持っている資格名を聞くしかありませんから」
後編では、国家資格ではない民間資格や、マッサージの「上手い・下手」だけで判断してはいけない理由を紹介する。
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(取材・文/しらべぇ編集部・くはたみほ)