JASRAC新方針が物議 音楽教室からも著作権料を徴収
2日、日本音楽著作権協会(JASRAC)が、ヤマハなどが手がける音楽教室での演奏についても、著作権料を徴収する方針を固めたことがわかった。
徴収額は年間10億~20億円と推計されており、教室側の反発は避けられない状況だ。
■生徒は「不特定の公衆」 受講料収入の2.5%徴収へ
著作権法では、著作物を不特定の公衆に対して演奏する「演奏権」を、作曲家や作詞家が持つと規定されている。
この規定を根拠として、JASRACはコンサートや歌謡教室、さらにはカラオケなどに著作権料を徴収してきた。
一方、音楽教室は教師が生徒に向けて楽曲を演奏する。それはお手本としてであったり、指導としてであったりするわけだが、JASRACはこれに関しても「公衆の前での演奏」と判断したようだ。
個人運営の教室は当面、除外されるそうだが、全国で合計9000箇所もの教室を徴収対象に設定。著作権料は、年間受講料収入の2.5%と、なかなか大きな数字である。
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■「若い芽を摘むだけ」と批判殺到
これに対し、ネット上では批判が殺到。「生徒は不特定の公衆ではないだろ」「いくらなんでも銭ゲバ過ぎる」「クラシックしかやれなくなる」「音楽が衰退するだけ」など、著名人含め多くの声が寄せられてる。
根底にあるのは、民間の教育施設を音楽文化や産業全体にとってどう位置づけるかであり、仮に徴収を行うとしても使用料規定には相当な配慮は必要だろう。果たして、文化庁は舵を取れるのか。
>音楽教室から著作権料徴収へ JASRAC方針— 福井健策 FUKUI, Kensaku (@fukuikensaku) 2017年2月2日
JASRACが酷いのは先刻承知だけれども、JASRACは音楽業界のマフィア達の意を汲んで、或いは忖度して動いてるのだと考えるべきで、つまりこれはこれまで同様、いわば上納金ビジネスのシュリンクに対応した話なのだ。本当の悪を見誤ってはならない。
— 佐々木敦 (@sasakiatsushi) 2017年2月2日
かつてDTM全盛期は作曲が趣味って人が結構いたんだけどJASRACのmidi規制でパタっとDTMという趣味が社会から殺されてしまい、それだけでは飽き足らず今度は音楽教室を規制して演奏家も抹消しようという辺り、ディストピア未来から音楽文化を消すためにやってきたエージェントの可能性
— 朝凪@冬コミ新刊委託中です (@Victim_Girls) 2017年2月2日
葬儀に父が好きだった「江差追分」を流したいと言ったら、葬儀屋に著作権の問題が、と言われました。JASRACの存在が、その著作権解釈が、人々から音楽を遠ざけているように思える。
— 佐藤龍一 (@RyuichiSato) 2017年2月2日
音楽教室の音楽使用料として授業料の2.5%を搾り取るというJASRAC方針。JASRACって音楽が流れるあらゆる場所に出向いて使用料搾り取ってるけどJASRACが搾り取った使用料が音楽産業に貢献してるとは到底思えないし音楽をシマにしたヤクザなんだよな本当に
— れっとぉしゅ (@kasaiU0221) 2017年2月1日
JASRACがヤマハや河合など音楽教室からも著作権料を徴収する方針を固めたらしいんだけど、風呂場で鼻歌歌って素っ裸で連行されるのも時間の問題だなと思った。
— 深爪@重版御礼「深爪式」絶賛発売中 (@fukazume_taro) 2017年2月1日
また、Twitter上での盛んな言論活動で知られるタレントのフィフィもこの件に言及。
「昔は街に音楽が溢れていた。新たなジャンルや才能に触れムーブメントを創り上げてきた。JASRACはアーティストを守ってるようで、音楽文化を衰退させてる。政府はここにメスを入れるべき」
などと述べた。
ネット上でタダで音楽を聞くことが当たり前になった昨今では、アーティストにとって「著作権」やそれに伴う金銭は、以前にも増して守るべき存在になっている。
だからこそ、権利管理団体には然るべき対応が求められるわけだが、それがあまりに過度になると、結果的に文化を衰退させてしまうのではないか。
そう危惧する声は、彼女以外にも多く確認できる。
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■一方、「聖域化」を疑問視する人も
もっとも、「子供相手になるとお金を取るのが悪になるみたいな雰囲気は良くない」「お金をとっている以上、慈善事業ではない」と、上記の意見に反論する人も散見。
音楽教室ってのは、他人が努力して作った音楽を利用して生徒たちから、授業料もらって利益としていて、慈善事業じゃない訳。
「教室」って呼び名から、努力、健全、みたいな精神論で、音楽教室を聖域化してる人達も、JASRAC批判してるだと思うよ。— ちあきん@走れ奇跡の子馬 (@chiakin103) 2017年2月2日
今回のjasracの件はまぁその楽曲で商売してるんだから目をつけられても仕方ないよねっていうか今までつけられてなかったのかというか.(正当性があるといっているわけではない)
— そら(えぐ) (@sora0602) 2017年2月2日
どちらの主張も共感できる部分があるだけに、権利関係の話がいかに難しいものなのかということを、改めて考えさせられるようだ。
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■JASRACの働きで音楽界はどう変わっていく?
かの有名な元総理が放った「聖域なき構造改革」が、良い悪いは別としてガンガン実行されている日本音楽の著作権領域。
しらべぇ編集部が全国の20~60代の男女858名に行なった調査では、「世界を変えると思って仕事をしている」と答えたのはわずか5.7%だった。
かりに、もしJASRACの今回の新施策が導入されれば、少なくとも日本の音楽教室は大きな影響を受けることだろう。だが、それによって起こる変化がどうなるのか……
予想できないだけに不安だが、音楽を愛するものとして、いい方向へ働くことを期待したいものだ。
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(文/しらべぇ編集部・クレソン佐藤)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年5月20日~2016年5月23日
対象:全国20~60代の男女858名(有効回答数)