「EBウィルス感染症」患者らが告白 松来未祐さんが遺した「命のバトン」繋ぐ
テレビでの特集を受け、「EBウィルス」に苦しんでいる人々が、自らの病気と松来未祐さんへの感謝の気持ちを告白
9日放送の『世界仰天ニュース』(日本テレビ系)にて、声優・松来未祐さん(享年38)の命を奪った「慢性活動性EBウィルス感染症(CAEBV)」について放送された。
人気番組で特集が組まれた背景には、「『CAEBV』を知ってもらい、1人での多くの命を救いたい」という松来さんの遺志と、「難病指定」を願ってご両親が病名公開に踏み切るという大きな決断があった。
松来さんが自らの死をもって遺したメッセージに、放送後からネットではさまざまな反響があった。
■「遅すぎた診断」人気声優の命奪った「EBウィルス感染症」
松来さんは、2013年頃から夜中にになると39度の高熱に苦しんだり、首のリンパ節が腫れ上がるなど体調不良を訴え始めた。東京都内の複数の病院を受診し、ガンの検査を受けるも結果は「異常なし」。
EBウィルスの疑いが分かったのは、発症から2年が経過した2015年6月頃。専門医の診察を3日後に控えた2015年6月30日、呼吸困難に陥り診察予約していた病院へ救急搬送され入院。
抗がん剤治療を経て同年9月に退院するも、その2週間後に容体が悪化、2015年10月27日に松来さんは38歳の若さでこの世を去った。
松来さんは闘病中、友人に「元気になったら手記を公開してCAEBVを知ってもらい、1人でも多くの命を救いたい」と語っていたという。
そんな松来さんの遺志や、診断が遅れたことに疑問をもったご両親が、EBウィルスの周知と難病指定を願って、松来さんの病名公開に踏み切った。
「慢性活動性EBウィルス感染症(CAEBV)」は日本人の成人の約9割が保有しているとみられるが、発症するケースは稀で、医師の間でもあまり知られていなかったという。
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■「松来さんのおかげで…」EBウィルス患者ら「命のバトン」繋ぐ
9日の放送を受け、ツイッターでは松来さんと同じくEBウィルスを患ったユーザーが自らの病を告白。
そして、自身の闘病生活や正式に診断されたことなどを報告し、松来さんやご両親への感謝の気持ちを綴っている。
松来未祐さん、松来さんのご家族が病気を公表してくださったおかげで、私は病院にたどり着き、慢性活動性EBウィルス感染症(CAEBV)が分かりました。公表してくれてありがとう。私はこれから治療ですが、絶対に治して思いをつなぎたいとおもいます。#仰天ニュース#EBウィルス
— にこり (@TeamNikori) May 9, 2017
そして日テレさん。EBウィルスについて真剣にとりあげてくれてありがとう。ちゃんと伝えてくれてありがとう。テレビからメッセージをうけとりました。にこり頑張ります!#日テレ#仰天ニュース#EBウィルス
— にこり (@TeamNikori) May 9, 2017
今日、仰天ニュースで松来さんの慢性活動性EBウィルス感染症をみてて、俺も19歳の時にEBウィルス感染症の一つの伝染性単核球症(いわゆるキス病)にかかりました。発見が早かったので治まりましたが、それでも治るまでに数ヶ月はかかりました。上のツイートに続きます。#世界仰天ニュース
— 🌻遊也🌻 (@kakimikancrew) May 9, 2017
酷い高熱の繰り返しと、激しい喉の腫れと痛みと、止まらない咳と倦怠感(だるさ)と肝臓の肥大化で数ヶ月の間家から出る事も出来ず病院の行き来だけでも家でも苦しみました。
それに丁度その時が専門学生の一人暮らしでしたのでなおさら苦しかったです。
また上のツイートに続きます#仰天ニュース— 🌻遊也🌻 (@kakimikancrew) May 9, 2017
感染症なのでご飯屋でバイトしてて医者からお客さんとかに感染するから治まるまでバイトは出てはダメと言われたので先輩に代わってもらってました。もちろん、学校もしばらく休みました。
それから、苦しい数ヶ月を耐えてひとまず治まって現在に至ります。
またまた上に続きます#仰天ニュース— 🌻遊也🌻 (@kakimikancrew) May 9, 2017
その間は祖父や祖母が来てくれたり、親戚のおじさんが薬を買ってきてくれたりなど皆から励まされてなんとか治まりましたが、この感染症に治療法はなく、一生付き合っていくもんじゃと医者から言われました。なので、その発症した時に、これからは笑って生きて行こうと決心しました。#仰天ニュース
— 🌻遊也🌻 (@kakimikancrew) May 9, 2017
でも、皆の支えがあったこそ自分は今生きてます。
俺は初期感染なので、ずっと再発しない人もいればまた再発する人も居るみたいです。俺はどちらかはわかりませんが、今日の仰天を見て松来さんの言葉に心打たれて自分も精一杯生きようとより決心できました。
松来さんありがとう。#仰天ニュース— 🌻遊也🌻 (@kakimikancrew) May 9, 2017
じゃけん俺からも言いたいです。
EBウィルスの感染は知らずの内にかかります、俺もいきなりかかりましたので。
松来さんが勇気を出して病気の事を打ち明けてくれたように皆さんもEBウィルスの事を少しでも理解してもらえたらと思います。#仰天ニュース— 🌻遊也🌻 (@kakimikancrew) May 9, 2017
ネット上で自らの病を公表することは、決して容易なことではない。
それでも彼等を動かしたのは、松来さんやご両親へのへの感謝の気持ちと、松来さんが自らの死をもって遺してくれた「命のバトン」を繋ぐためだ。
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■「骨髄バンク」への関心高まる
松来さんの闘病生活が特集される中で、「骨髄移植」の難しさが改めて浮き彫りとなった。
EBウィルスの完治には骨髄移植が必要で、「適合する骨髄が見つかれば救われる命がある」という事実を知り、「骨髄バンク」について調べる人が続出。中には、「ドナー登録」の意向を示す人も。
松来さんの闘病を知り、すぐにドナー登録した骨髄バンクでしたが、どなたのお役にもたてないまま昨年の誕生日をもって卒業となりました。今、私にできることは、コンスタントに献血に行くことです。放送を通してCAEBVの事を知った多くの方が自分なりの一歩を踏み出せたらいいなぁと思っています。
— さとうやすの(佐藤恭野) (@yasuno_san) May 9, 2017
さっきまでやってた世界仰天ニュースの影響からか骨髄バンクのサイトがちょっと重くなっている。不幸にも亡くなってしまったけど、ご本人とそのご遺族が勇気を持って闘病について公表されたことがきっかけとなって、同じ病気で苦しんでいる人、今後苦しむ可能性がある人を救うのかもしれない。
— iek (@iekiek1984) May 9, 2017
今回の松来さんをきっかけに、少しでも悲しむ人が減るようにたくさんの人に慢性活動性EBウイルス(CAEBV)について知って、献血や骨髄バンクドナー登録をする人がもっと増えて欲しい。ポスターが欲しいとかジュース飲み放題だとかの動機で全然いいと思う。それで助かる人がいるんだから。。。
— いずみん (@42noraneko_23) May 9, 2017
松来未祐さん(まつらいさん)が亡くなった慢性活動性EBウィルス感染症という病気は、対処療法では献血から作る血液製剤、完全に治すには骨髄移植があります。手続きは日本赤十字の献血センターで行えます。私は喘息の薬を服用してますが献血も可能で骨髄バンクも登録してます。皆さんもぜひご協力を
— かもす💉💉 (@kamosdeepforest) May 9, 2017
骨髄バンクへの登録には年齢や持病などの制限があり、誰でもドナーになれるわけではない。しかし、一人でも多くの命を救うため、ドナー登録を呼びかける声が相次いでいる他、献血を呼びかける声もみられる。
「慢性活動性EBウィルス感染症(CAEBV)」が難病に指定された場合、3万円ほどかかる自己負担の検査費用が軽減される他、医師の間で広く周知され、早期発見・治療に結びつく。
しかし、EBウィルスは「感染症」という扱いであるため、難病指定までの道のりは険しい。それでも、より多くの命を救うため、「慢性活動性EBウィルス感染症(CAEBV)」が難病に指定されることを願う。
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(文/しらべぇ編集部・もやこ)