アンケート調査って何名に聞けば正しいの? プロのリサーチャーがずばり回答
しらべぇでもよく報じられる「インターネット調査」。その誤差や標本数についてリサーチャーが解説
モニタス、リサーチャーのコガです。『ニュースサイトしらべぇ』もそうですが、最近、インターネット調査の結果を目にする機会が増えていますね。
でも、調査結果は、回答者が置かれているそのときの状況や、回答方法、アンケート依頼者と回答者の距離感など、さまざまな要因で回答結果の振り幅は小さくはありません。
そこで、アンケート調査において、調べたい母集団に対してどれくらいの標本を抽出すれば最適なのか、「抽出する標本数」について、ご説明しましょう。
■ニュースへの賛否を聞くとしたら…
たとえば、 あなたが、もし、あるニュースに関する日本人の賛否(%)とその理由について調べることになったとします。
そのテーマで友人、同僚、家族、合コン相手、道ばたですれ違った人、その場にいる誰か1人に聞いたとしたら、どうでしょう。
1人の答えは、偶発的に日本人を代表する平均的な答えになっているかもしれないし、そうではないかもしれません。
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■標本数が増えると平均に近づく
では次に、 聞く相手が10人に増えたらどうでしょうか? きっと、ちょっと違う傾向の答えに出会えるかもしれないけれど、答えがパラパラしててまとまらない、傾向をつかめないと思うかもしれません。
そこで、少し規模を拡大して、アンケートモニター100人に聞いてみましょう。 「あれ? なんとなく、回答の傾向がまとまってきてるな」と思うでしょう。 だんだん平均に近づいていますね。
…という風に、データはとる数が増えるほど、調べたい母集団の平均に近づいてきます。
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■標本数の決め方パターンとは
一般的にアンケート調査における標本数の決め方は、「サンプリング誤差から決める方法」または「経験から決める方法」が用いられています。
①サンプリング誤差から決める方法について
調べたい母集団に対し、標本数は多いほど誤差は少なく、標本数は多いに越したことはありません。ただし、現実的には、調査にかけられる予算に応じてその誤差をどこまで許容するかを考慮し、決定されます。
サンプリング誤差早見表をみると、例えば、あるブランドを好きだという回答が50%のとき、サンプル数が100の場合、誤差は±10.0%、つまり、真の値は40%~60%の間にあるとみなします。
誤差を±5.0%以内に収まるようにしたい場合は、標本数を400にする必要があります(最も誤差が大きくなる回答結果(p)が50%のときの誤差が±5.0%)。
②経験から決める方法について
必要な標本(サンプル)数については、経験的な決め方をすることも多々あります。以下は、その中の一例ですが…
・1エリアで、500サンプル
・クロス集計の際は、1グループ最低30サンプルが必要
・多変量解析の際は、変数の10倍程度の標本数が必要 など
(調査目的やリサーチャーの経験によって、上記が少ない・多いなど 判断は異なる場合があります)
弊社モニタスがデータを提供するニュースサイトしらべぇでは、1300サンプル以上に対する調査結果が数多く公開されています。
時代とともに、アンケートに答えてくださる生活者のライフスタイルも変化し、昼間の在宅率が減り、パソコンよりもスマホを使う人が増えるなど、いわゆる代表性がある結果データが得られる環境は大きく変わってきています。
よって、ネット調査に限らず、調査手法に応じて、対象の特性や偏りなど留意すべき点は様々あり、代表性のベースをどこに置いて考えるかにもよりますが、しらべぇで行われているネット調査1000サンプル以上というのは、安定感のある標本数で行われていると言えるでしょう。
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