韓国でいじめが訴訟に発展? 「対岸の火事ではない」と弁護士が警鐘
いじめと懲戒のバランスは、日本でもさらに問題化する可能性が…
(kdshutterman/iStock/Thinkstock)
レイ法律事務所、弁護士の高橋知典です。
お隣の韓国で、「いじめに関する懲戒処分が法的紛争に至ることが増えている」という報道がありました。
殺伐とした教育現場の状況を感じさせますが、これは対岸の火事とは言えません。 日本国内でも、いじめ事件と懲戒処分が表裏の関係にあり、教育現場には高度のバランス感覚が求められています。
■いじめと懲戒
いじめの隠蔽や、不対応の問題が表沙汰になってから随分と時間が経ちます。
実際、私が関与するいじめ事件の中には、学校に頑ななまでに無視され、さらには子供の被害妄想だとか、嘘つきだとまで言われている事件も少なくありません。
一方で、最近新たな問題としてご相談いただくのが、いじめ等の非行行為についての過剰なまでの懲戒処分です。
確かに、いじめが起きた場合に、学校として無視はありえません。もちろん悪い事をした以上、子供といえど、停学や退学を含む懲戒があって仕方ない場面があります。
今回の韓国のニュースの事案もかなり深刻な事案でしょう。 しかし最近では、ごく些細なことであっても、学校が過剰な退学処分まで至ってしまうことがあります。
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■過剰な処分の裏側には…
こういった学校の懲戒行為の裏側に、いじめの原因を加害生徒の責任にして、被害者とともに加害児童をやっつけるために戦っているように見せ、被害者からの学校に対する責任追及を避けようとする打算を感じることがあります。
しかし、こうした学校の懲戒行為については法的に争うことができます。退学処分は人生に与える影響が非常に重いものです。過剰な懲戒処分については争うべきでしょう。