元オウム・菊地被告の無罪判決に「なぜ逃げた?」の声も 弁護士の見解は…

オウム真理教による都庁郵便物爆発事件で、殺人幇助の罪に問われていた菊地直子被告について、無罪が確定した。

2017/12/28 07:30


裁判
(AndreyPopov/iStock/Thinkstock)

オウム真理教による1995年の都庁郵便物爆発事件で、爆薬の原料を運んだとして殺人未遂の幇助の罪に問われていた元信者の菊地直子被告(46)について、最高裁は、検察側の上告を退ける決定をした。これにより無罪が確定する。



■「走る爆弾娘」と呼ばれた過去

「地下鉄サリン事件」など、教団が起こした一連の事件の容疑者として指名手配されていた菊地被告。教団では陸上部に所属していたことから、当時はマスコミ各社から「走る爆弾娘」とも呼ばれていた。

17年にもおよぶ逃亡の末に2002年に逮捕された菊地被告は、1審で懲役5年の判決を受け、2審で逆転無罪判決を言い渡されていた。


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■「なぜ逃亡した?」

菊地被告の無罪を受け、ネット上では「なぜ逃げた?」と指摘も。17年にもおよぶ逃亡をした菊地被告に、罪の意識がなければ逃げる必要がなかったのでは、との声が相次いでいる。

また、逃げた菊地被告の心境を推測する意見も。

https://twitter.com/Daisan_32/status/945946533400154112


しらべぇ取材班は、しらべぇコラムニストで、レイ法律事務所に所属する河西邦剛弁護士に話を聞いた。


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■弁護士の見解は…


主な争点として、菊池直子氏が運搬したものについて人の殺傷に使用される可能性のあるものであることを認識していたかが問題となりました。菊池氏は認識がなかったと否認していている以上、裁判所が、当時の状況等から菊池氏が認識していたことを認定できるかが問題となります。第1審判決は当時の状況等から菊池氏が認識していたと認定し有罪判決を言い渡しています。


これに対して、最高裁は、「間接事実の積み重ねを過剰な推認につなげている1審は不合理で、明らかな事実誤認がある」としています。最高裁の判決は、刑事裁判の原理原則に立ち返り、オウム関連事件だとかニュース報道等々を考慮せず、公判に提出された証拠のみから客観的に判断すると、菊池氏が認識していたと認定することはできないと結論づけたと言えるでしょう。


長きに渡り、世間から注目されていた菊地被告。無罪が確定した今、何を思うのだろうか。

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(取材・文/しらべぇ編集部・シマウマ姉さん 取材協力/レイ法律事務所河西邦剛弁護士

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