和は良酒を醸し良酒は和を醸す 伝統の技で新潟淡麗の美酒をつくる『雪の幻』の蔵
ひとりではできない酒造り。チームワークを表す言葉が「和醸良酒」。
酒造りの基本は「和醸良酒」。蔵人の和をもって良酒を醸すことが、愛される新潟の酒造りに通じる。そのためには蔵人が幸せに働ける環境、体制作りが必要と蔵元は語る。
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■雪国の風情を名に
新潟市の西南、信濃川の支流である西川の川辺に、朝妻酒造はある。朝妻とはなんとも風情を感じさせる名前だが、主要銘柄『雪の幻』もまた雪国を連想させる幻想的な名称。
このラベルの酒を目の前にしたら、どんな味わいなのかと誰しも想像心を掻き立てられるに違いない。 朝妻酒造の創業は1909年。それほど長い歴史がある蔵ではないが、創醸以来、日本酒製造の伝統の技を守り続けてきた。
そのひとつが「生酛系」酒母での酒造り。 発酵のたねとなる酒母の立て方には「生酛系」と「速醸系」があるが、現在、酒母造りには多くの場合後者の「速醸系」が採用されている。
乳酸を添加して酒母を酸性に保ち、酵母を培養するもの。従来の生酛造りに比べて、比較的安全に醸造でき、工程に要する期間も半分ほどに短縮できるからだ。
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■伝統の技を守り続ける
一方、生酛による伝統的製法は、天然の乳酸菌を利用して乳酸を生成し、酒母を酸性に導くことで、有害微生物が繁殖できない状態を整え、日本酒のアルコール発酵に必要な酵母を培養する。
速醸酛が開発される1910年までは、全ての蔵がこの方法で醸造していた。だが、生酛造りには手間や時間だけでなく、高度な管理技術を要することも事実。
朝妻酒造ではこの高度な技を要する生酛造りを伝承し、純米酒は今も生酛系酒母で造っている。 「生酛にこだわるのは、喉越しの爽やかな旨み豊かな酒になるからです」 と、取締役社長の尾坂茂さんは説明する。
生酛造りは、期間が長く微生物がたくさん介在するので、それらが酸味や旨みとなり、バリエーション豊かな酒質になる。