世界遺産認定も間近で話題の仁徳天皇陵 「聖帝」とも呼ばれたその業績とは
ユネスコ諮問機関によって世界文化遺産に登録すべきと勧告された「百舌鳥・古市古墳群」。そもそも古墳とはなんなのだろう?
しらべぇでも既報だが、2019年5月13日、文化庁は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関によって、大阪堺市にある日本最大の前方後円墳『仁徳天皇陵(大仙古陵墳)』を含む『百舌鳥(もず)・古市古墳群』を世界文化遺産に登録すべきと勧告されたことを発表した。
全49基の古墳が対象となる。これまで、古墳を愛するアーティストや作家、研究者が大阪府と共にアピールを繰り返してきたものの、2017年には宗像市の『新原・奴山古墳群』が先に認定された。大阪府にとっては待ちに待った朗報だったろう。
しかし、古墳とひとくちに言っても、そもそも何なのか知らない人も多いのではないだろうか。
■「古墳」とは?
「古墳」は古代日本で大量に作られたお墓であり、そのほとんどは天皇やその親族、そして豪族(一定の地域の支配権をもつ一族)など、有力者のものであると言われている。
それこそ「古墳時代」と後世で名付けられるほど作られたわけで、現代確認されているものだけでも約16万基もあるというから驚きだ。
もちろん激動の歴史のなかで消滅したもあり、失われた古墳は約1万8000基にものぼるそうだ(『平成28年度 周知の埋蔵文化財包蔵地数(古墳・横穴)』(文化庁調べ)より)。
なかにはお城になったものや、神社が建てられたものも。とはいえ、1700年近くも前のものが、現在残っていること自体すごい事だ。
大きさはまちまちで、大きいものほど天皇や有力者が埋葬されている可能性があると言われている。また、形も円形や長方形など様々で、今回話題になった仁徳天皇陵は鍵穴のような形をした前方後円墳だ。
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■「聖帝」といわれた天皇
仁徳天皇陵(大仙陵古墳)に埋葬されている人物は特定されていないが、宮内庁により第16代天皇である仁徳天皇陵と治定(じじょう)されている。
仁徳天皇は、『古事記』『日本書紀』にも記されており、その事績ゆえに「聖帝」とも評される。逸話のひとつである「民の家から炊煙(炊事の煙)が上がっていないことで民の貧しさに気づき、税を免除。自らも質素な生活をした」というのは有名だ。
また、今回対象に入っている『上石津ミサンザイ古墳』は、仁徳天皇の息子である第17代履中天皇の陵墓だといわれている。周辺には一族が埋葬されているのかもしれない。
愛された天皇だったためか、強固な権力があったためか、なぜ巨大古墳が建ったのかは不明だが、古墳の置かれ方や形、大きさで古代の歴史の謎を想像してみるのも楽しいのでないだろうか。
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■空から古墳を楽しむ
古墳は市や県で管理している場合があるが、天皇陵とされているところなどは、宮内庁の管轄となり、古墳の敷地には入れないことが多い。
今回の仁徳天皇陵や上石津ミサンザイ古墳、他には卑弥呼の埋葬地ではと言われている『箸墓古墳』(奈良県)などもそうだ。研究者も立ち入り禁止で詳しい科学調査も行われていないため、古墳ファンの間でも謎につつまれているのだ。
しかし正面からは無理でも、セスナに乗って古墳の全貌をおがむという方法もある。様々なプランがあるようなので、気になるひとはチャレンジしてみるのもいいかも。
一方、実際に埋葬場所など、中に入ることのできる古墳も多数ある。群馬県の『八幡塚古墳』や、島根県の『今市大念寺古墳』などなど。東京タワーに近い『芝丸山古墳』などは、古墳の頂上にベンチが置かれているため公園のようになっているのだ。
奥深く、意外に親しみやすい古墳の世界。この機会にぜひお近くの古墳を調べて見にいってみてはいかがだろうか。
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)