「海賊版サイトで満足する人はファンじゃない」 ユーチューバーが発信し続ける理由

海賊版サイト、違法アップロードについて啓発動画をアップし続ける理由とは。話題のアニメユーチューバー・たぐぢエンターテインメントに聞いた。

2019/10/21 05:45


たぐぢエンターテインメント

人気漫画を無断で掲載したことが大きな問題になった海賊版サイト『漫画村』。サイトの運営者とみられる星野ロミ容疑者(27)が、7月に潜伏先のフィリピンで拘束され、日本に送還。15日には人気マンガ『キングダム』の画像を掲載したとして、著作権法違反容疑で再逮捕された。

しかし、『漫画村』が閉鎖した今も新たな違法サイトが誕生している状況で、問題の深刻さは変わっていない。

マンガはもちろんのこと、アニメに関しても動画サイトで人気作のタイトルを検索すると、つい数時間前にアップされたものが数多く並んでおり、少なくない人が鑑賞している。

ネット時代ならではとも言えるこの手のサイトだが、そんな状況をYouTubeにて批判、正しい形でのコンテンツ利用を訴え続けているひとりのユーチューバーがいる。

彼の名は「たぐぢエンターテインメント」。アニメ専門のユーチューバーとしては国内トップクラスの登録者数を持つ、話題のユーチューバーだ。(17日現在9.6万人)

アニメやマンガの利用について、メッセージを発信することで「ツイッターに中傷メッセが来ることもある」と語る彼が、それでも発信し続ける理由を聞いた。


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■『ヤンジャン』を毎週買っていた先輩が…

たぐぢエンターテインメント

ーー『漫画村』を最初に知ったきっかけは?

たぐぢ:職場にずっと『ヤングジャンプ』を休憩中に読んでいた先輩がいたんですけど、あるときから急に買わなくなってスマホを熱心に見るようになったんです。


それで不思議に思って覗き込んで「こういうサイトがあるんだ」ということを知って、帰って調べてみたら『漫画村』でした。


ーーとなると、違法性はそのときから認識していたと。

たぐぢ:もちろんです。そんなスゴイ作品が制限なく、無料で読めるワケがないので。だから、動画では何度も取り上げていますけど、僕自身は『漫画村』をしっかりと見たことはないんです。


人が読んでいるのをちらっと覗いたことがあるくらいで、動画で取り上げたときもマンガ雑誌の表紙を見ただけで「取り上げるから試し読みしよう」というのもない。


それがオタクとしての矜持かと言うとそういうワケでもなくて、ただ紙が好きでスマホだと目が痛くなるって理由なんですけど(笑)


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■現場は「なにも感じない」ようになっている

鬼滅の刃
(画像はYouTubeのスクリーンショット/公式動画の上に違法アップロード動画が)

ーースマホの普及も、海賊版サイト・違法アップロード問題を広げている要因ですよね。若い人の中には違法と知らず利用している人も多そうですが、どう感じます?

たぐぢ:僕の視聴者をみた感じだと、やっぱり中学生くらいまでは気づかないことがとても多いですね。逆に、高校生くらいになれば「知ってて使っている」パターンが増えてくる印象です。


ーーたぐぢさんはアニメユーチューバーとして業界関係者と交流もあるかと思いますが、現場から違法アップロードについて声を聞いたりすることはありますか?

たぐぢ:少なくないアニメ監督さんたちが「されて当然」と感じているようです。あまりに酷いから、もはや怒りも悲しみもなく、なにも感じないようになっているんですよね。


正直、このことについては動画ではあまり言わないようにしてきたんですよ。というのも、YouTubeで言ってしまうと「じゃあ違法アップロードしてもいいんだ」って思う人が出てくるじゃないですか。


現場の人間もそう思っちゃうほど事態は深刻だし、だからこそ「こっちがしっかりとしないと」って。


また、作者さんたちがそのような発信をすることが難しいというのも一因だと思います。マンガ家やライトノベルの作家さんって、年齢含め素性を明かしていない人が多いですけど、それって作品に集中してほしいからやってることなんですよね。そして、彼らはそもそもSNSが本職なワケではないですから。


ただ、最近はツイッターで違法アップロードや転売に対して批判的なメッセージを、クリエイター側が言うケースも増えていると思います。これはいい流れですよね。

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■注意した側が「おかしい」となるおかしさ
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