八千草薫さんが死去 「寅さんに恋したマドンナ」千代役を振り返る

24日に亡くなった八千草薫さん。数ある名演の中でも多くの人に愛され続けた「寅さん」との名シーンを振り返る。

2019/10/28 17:20


八千草薫

女優の八千草薫さんが24日、東京都内の病院で膵臓がんのため亡くなった。88歳だった。八千草さんは、宝塚歌劇団に入団し、1951年に映画デビュー。退団後はテレビドラマにも活躍の場を広げて『岸辺のアルバム』など数々の名作に出演した。



■幅広い世代に親しまれた

宝塚音楽学校を経て47年に宝塚歌劇団入団した八千草さん。劇団内に設けられた映画専科に所属し、宝塚在籍中から映画との関わりを深めていった。

在籍中には三船敏郎さん主演の『宮本武蔵』や『蝶々夫人』に出演。57年に退団後は『阿修羅のごとく』など多くの話題作に出演した。とくに72年公開の映画『男はつらいよ 寅次郎夢枕』では寅さんに恋したマドンナという珍しい役どころだった。


関連記事:『男はつらいよ』衝撃的すぎる最終回が存在 バッドエンディングだった

■新しいマドンナ像

今年、久々の新作が公開される「男はつらいよ」シリーズ。車寅次郎(演・渥美清さん)がマドンナに恋して破れる定番のパターンは多くの人が知るところだ。しかし中には寅さんに恋をするマドンナも存在していた。それが八千草さん演じる志村千代だった。

寅さんの妹・さくら(演・倍賞千恵子)と幼馴染みの設定。再会するとたちまち恋をしてしまう。離婚して、子供と離ればなれとなった千代の寂しさを、紛らわそうとする寅さんの奮闘努力。

千代に恋する岡倉の存在などもあったが、今までにない展開があった。八千草が絶妙な表情で演じぬいたプロポーズのシーンだ。


関連記事:夏木マリ、ゴクミとの”親子ツーショット”に反響 「最後も親子で…」

■シリーズ屈指の名場面

上品で清純、おっとりとした陽だまりのような笑顔。作中で存分に魅力を振りまいたが、もっとも盛り上がったのはプロポーズのシーンだった。岡倉の気持を知った寅さんは千代に代理で告白するが、千代は寅さんからのプロポーズと勘違い。承諾してしまうのだ。

このシーンで寅さんからのプロポーズだと思い、いじらしい表情そして照れながらも喜ぶ表情と代理プロポーズだと知った後の失意の微笑み。難しい状況を見事に演じ、インパクトを残した。

「私ね、寅ちゃんと一緒にいるとなんだか気持ちがホッとするの」という台詞はシリーズ屈指の名セリフとして語り草になっている。八千草さんの訃報を受けて真っ先にこのシーンが浮かんだという声もツイッターにもあった。

数あるシリーズの中で、たったワンシーンで忘れられない存在感を放った八千草さん。残念ながらこの世から旅立ってしまったが、作品は残り続け新たなファンを獲得し続けるだろう。

・合わせて読みたい→純矢ちとせ、宝塚退団後初舞台に気合い 「5人の男性から…」

(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部

映画訃報八千草薫
シェア ツイート 送る アプリで読む

編集部おすすめ


人気記事ランキング