消費者庁、新型コロナ検査キット販売会社を行政指導 「国が認めたものではない」
「余計なもの」に手をださないよう注意喚起。厚労省は一度感染しても再度感染する可能性を指摘。
ネット上では「変異株対応」、「自宅にいながら素早く確認が可能」とうたう新型コロナウイルス抗原検査・抗体検査キットが数多く販売されている。消費者庁は検査キット販売事業者5社に対して、景品表示法違反のおそれがあるとして、行政指導を行った。
■PCRと抗原検査の違い
PCR検査は、ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)の略称であり、現在ウイルスが体内に存在しているのか(感染しているのか)を調べることができる検査で、微量のDNA断片を増幅して検出する方法だ。
一方抗原検査は、新型コロナウイルスに対する抗体を用いて抗原を見つける検査で、感染のマーカーとして、ウイルス表面のタンパク質の断片を検出して検査を行う。
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■抗体検査とは…
抗原検査はPCRとは異なり、検出にはより多くのウイルスが必要であり、PCR検査に比べて精度が劣る。このため、2つを組み合わせて活用することが多く見受けられる。
また、抗体検査は過去に感染したことがあるのかや、現在の感染の状態(感染初期なのか、感染してから時間が経過しているのか)、ウイルスに抵抗する能力(抗体)を、すでに獲得しているのか(人にうつしにくいのか)を調べることができる検査だ。
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■嘘や偽りの表示
今回消費者庁が行政指導を行ったのは、研究用抗原検査キットの販売事業者2社及び抗体検査キット販売会社3社。抗原検査キット販売会社は、「厚生労働省承認済み【国内唯一】」と嘘の表示や偽りの「厚生省令で定める医療機器届け出番号」を表記していた。
新型コロナウイルスの研究用抗原検査キット及び抗体検査キットは、国が認めた体外診断用医薬品ではありません。
自己判断で感染の有無を調べる目的で使用しないでください。
感染が疑われる場合には、医療機関等に相談してください。
(商品表示に関する注意喚起!)https://t.co/nuwQ0incKz pic.twitter.com/gnvdpvk5qB— 消費者庁 (@caa_shohishacho) March 26, 2021
また、抗体検査キット販売業者は、あたかも当該抗体検査キットを使用することにより、「現在新型コロナウイルスに感染しているか否かの判定ができるかのように示す」表示をしていた。これらすべてが景品表示法違反するおそれがあると判断された。
消費者庁の行政指導に対して、すでに4社が従い改善しており、残りの1社も従う意向だという。
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■国が認めたものではない
消費者庁表示対策課は、「研究用抗原検査キット及び抗体検査キットについては、国が認めた体外診断用医薬品ではない」と話す。担当者は「正しい知識を理解した上で、自己判断で新型コロナウイルス感染の有無を調べる目的で使用しないように」と語る。
また、「余計なものに手を出さず、新型コロナウイルスの感染が疑われる場合には、受診相談センターまたは医療機関に相談してください」と述べた。
厚生労働省は、一度新型コロナウイルスに感染した人であっても、再度感染する可能性は否定できないため、引き続き適切な行動をとるように呼びかけている。
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(取材・文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)