飲み会の「とりあえず生」文化に変化…? 若者がビールを頼まない”意外な理由”
飲み会の一杯目のオーダーで恒例だったビール。最近は変化しているようで…。
「とりあえず生でいいよね?」「みんなビールでしょ?」──。飲み会で一杯目を注文する際は全員ビールにするというのが恒例だった。ただ、最近は各々が好きな飲み物を注文することが増えた印象を受ける。
「とりあえず生文化」が薄れたのには、意外な理由があって…。
■記者の周りでも変化が…
8月初旬、20代の仕事仲間と3人で飲み会をした。席に着いて、最初の一杯目を注文することに。ファーストドリンクは生ビールと決めている30代の記者に対して、他の2人はハイボールとレモンサワーをチョイス。
そのため、注文時は「生1つとハイボール、レモンサワー」となった。ふと、最近「とりあえず生で」とオーダーするのが減ったことに気付く。
とくに、自分と同年代の30代や20代の人と飲みに行くとそれが多い印象だ。記者が6年前に働いていた会社ではお酒が飲めない人を除き「一杯目は生ビール」という風潮があり、ここでレモンサワーなどを頼もうものなら「お前、先輩がみんなビール頼んでるのに…」「最初は注文しやすいように生って社会人の常識だから」といらぬお説教を食らうのが恒例だった。
だが、最近は上司や先輩のほうから「遠慮しないで好きなお酒頼んでね」と言う配慮をしてくれるそうだ。ここでも「一杯目のビール」文化に変化が起きているようだ…。
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■「強制がなくなった」
都内で働く50代の会社員男性も、「とりあえず生」が薄れていると話す。「最近の若い人達は、一杯目からハイボールを頼み、ビール自体あまり飲まないイメージです。私たちが若い頃は、みんながビールのジョッキを持って乾杯するのが恒例だったので一体感のようなものがありました。ここ数年でその辺りが変わったので個人的には少し寂しいですね…」(50代の会社員男性)。
芝浦工業大学教授で若者事情に詳しい原田曜平さんは、こうした傾向は10年ほど前から徐々に強くなっていると指摘する。「さまざまな理由がありますが、社会からの強制がなくなっていることもその一つだと思います。例えば、20年前であれば上司から『俺の酒が飲めないのか』『一杯目はビールだろ』と圧力をかけられたり、直接的に言われなくても暗黙の了解のような雰囲気があったかもしれません。ただ、今はそういうことを禁止される時代になっています」(原田さん)。
ここ数年、パワハラに対して厳しい世の中になったのはご存知の通り。上司が若い社員の頼むお酒に物申すと「アルコールハラスメント」(アルハラ)認定される可能性がある。