経済で米中対立の狭間に陥る日本 八方美人外交は日本を地獄に誘い込む
米中の間で半導体競争が激化。今月米国が日本に対して対中国で足並み揃えるよう要請したが、日本はこの板挟みの中どうやって生き残るのか。
最近、ジーナ・レモンド米商務長官と西村康稔経済産業大臣が電話会談した際、半導体の対中輸出規制を巡り、米国側から日本に対して足並みをそろえるよう要請があったことが発覚した。
■米国側から日本に圧力
米国は今年10月、安全保障上の観点からスーパーコンピューターや人工知能向けの高性能品の対中輸出を幅広く制限する規制案を発表したが、今回の要請もその一環だろう。
米国は日本が半導体製造装置などの中国輸出を規制し、中国の先端半導体の開発を遅らせたい狙いがあるとみられる。バイデン政権には米国が対中規制を強化しても、半導体製造装置で高い技術力を誇る日本やオランダの協力を得られなければ抜け道が残るという懸念がある。
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■とりあえず揃える足並み
そして、その後、オランダ同様日本も半導体の対中規制で米国と足並みを揃える意思を表明した。
米国は日本にとってなくてはならない軍事同盟国であり、台湾有事や日本有事を想定すれば、ここで米国に拒否を申し出た場合、日米関係に決定的な亀裂が生じることになる。
中国は軍民融合を進めており、こういった最新鋭の半導体技術が軍事転用される恐れがあるが、それは日本の安全保障を脅かす。日本が米国と協力する意志を示したことは当然の選択だ。
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■中国からの反発が懸念
しかし、日本にとって中国は最大の貿易相手国であり、今回の件も1つの引き金となり、いつの日か日本に対して砲撃的な経済制裁が発動される恐れがある。
中国は何より日本が米国と結託することを嫌がっており、たとえば今回の半導体規制への報復として、日本向けの重要輸出品目などを狙って逆に輸出停止などを実行してくる恐れもあろう。
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■今後いっそう難しく
今後米中の対立はいっそう激しくなる。要は、米国はますます日本に対して「中国と関係を切れ」と圧力をかける機会が多くなり、一方では中国からも「いつまで米国とお友達でいるのだ」、「米国と足並みを揃えていいことがあるのか」といった圧力が掛けられることになる。
日本は今後いっそう厳しい立場に追いやられるだろう。
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(取材・文/セレソン 田中)