国家間戦争リスクが最も高い極東アジア 台湾有事も結局は習近平次第
「発生する」「発生しない」「今起きないがいつが発生する」など様々な意見がある台湾有事。我々はどれだけ習氏の真意を探れるのか…。
台湾有事をめぐり、2022年は国際的な緊張が高まっている。日本国内でも台湾有事を巡ってメディアで様々な主張が専門家の間で展開され、政府の間でも台湾有事を巡った邦人退避を巡る議論が活発化するようになってきている。
■1番危険なのは日本人の平和ボケ
台湾に進出する企業の間でも、台湾依存からの脱却を検討する動きが少なからず見られるようになった。来年、この議論は今年以上に白熱するかもしれない。
しかし、この議論をめぐって今日最も危険なのは、我々日本人の平和ボケだろう。今日、筆者が最も懸念するのは、“日本周辺の安全保障環境がいっそう厳しくなっているなか、その中にいる日本人は相変わらず平和ボケで、そこに大きなギャップがある”ことである。
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■リスクが最も高いのは極東アジア
今日の世界各地域の情勢を見ても、地域的な安全保障協力体制が存在せず、国家間戦争のリスクが最も高いのは極東アジアである。
米国と中露の亀裂は深まるばかりで、北朝鮮は暴動をエスカレートさせ、台湾有事は現実の問題となっている。世界が極東アジアの未来へ懸念を抱いているのである。
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■重要なのは習氏の言葉から…
習近平国家主席は“台湾統一を必ず成し遂げる、そのためには武力行使を躊躇しない”という姿勢を繰り返し示している。11月に習国家主席がジョー・バイデン大統領に対して「台湾は核心的利益の中の核心だ」と告げるなど、我々は習氏にとって台湾が“特別”な問題になっていることを冷静に受け止めるべきだろう。
そして、我々は我々の価値観でこの問題を考えてはならない。中国は民主主義国家ではなく、習氏は権威主義国家の指導者であり、台湾有事が起こらないという保証は一切ない。そこに日本人の平和ボケ的な考えを入れてはならず、今後はどれだけ習氏の真意を探れるのかがポイントになる。
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(取材・文/セレソン 田中)