米国有力シンクタンクが米軍の能力限界提示 中国の台湾侵攻危機が高まる恐れ
米国はウクライナへ兵器供与を続けているが、それによって台湾有事など対中国に必要な備蓄兵器が大幅に不足。シンクタンクは今から兵器の増強を提言。
米国には多くのシンクタンクがあり、日本と違い政権の政策に大きな影響を与える。ワシントンに拠点を置く有力シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は1月下旬、今日の米国の軍事情勢についてまとめた報告書を公開した。
■驚くべき現実を示唆したCSIS
CSISはその中で、昨年以降米国はロシアと戦うウクライナに対して莫大な軍事支援を続けているが、それによって米国が備蓄している兵器がどんどん減っており、今日仮に台湾有事になれば全く対応できる備蓄量ではないと懸念を示した。
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■ウクライナ戦争に直面したバイデン政権
ジョー・バイデン政権は発足当初、対中国に集中する予定だったが、昨年2月にロシアがウクライナに侵攻してしまい、対中に割く時間、労力の一部を対ロシアに向けざるを得なくなり、正直バイデン大統領は“厄介なことをしてくれた”と思っているだろう。
しかし、ウクライナを無視するわけにはいかず、米軍がウクライナに入れば事実上の米露戦争に発展することから、バランスを取って軍事支援という手段を取った。
しかし、それが長期化するにつれ、米国が保持する兵器の備蓄量がどんどん減り、それによって本来は対中国を想定した備蓄兵器にまで影響が及ぶようになり、今回CSISはそれに対して警告を鳴らしたのだ。
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■中国の台湾侵攻意欲が確実に高まる
台湾侵攻で中国が最も気にしているのは、米軍の能力である。米軍がいくら台湾を防衛すると強い意欲を示しても、能力が不足していれば中国にとって大きな脅威ではない。
中国は台湾侵攻時における米軍の対応能力を最も判断基準にしており、今回のように備蓄兵器が減っているとする報告書が出たことを中国は喜んでいるかもしれない。
これによって、中国の台湾侵攻意欲が少なからず高まったことが間違いないだろう。
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(取材・文/セレソン 田中)