月末近づくと「PayPay」使う人が急増? その背景に“還元率”のカラクリが…
【得する経済学】毎月月末になるとしきりにPayPayを使う経済評論家。そこに隠された経済学とは?
「お支払いはPayPayでお願いします」
買い物の際にキャッシュレスを使うことがすっかり習慣になってしまいました。お店も消費者も慣れてみると結構簡単なんですよね。しかもポイントが貯まりますし。そんな私ですが、月末が近づくと毎日、とにかくPayPayで買い物をするようにしています。その理由をお話ししましょう。
■0.5%還元と1.5%還元は大きく違う
ちなみに皆さん、キャッシュレス支払いでのポイント還元率をきちんと把握されています? カードやQRコード決済の種類によって結構違うんです。多くのクレジットカードはポイント還元率を計算してみると0.5%の設定になっているようです。カードを20万円使ってようやく1,000円もらえる計算です。
PayPayも何もしていない人は同じで0.5%のポイント還元率がデフォルト設定です。でも私はPayPayで決済するたびに1.5%のポイント還元してもらえるんです。結構大きな差ですよね。
世の中のサービスには「ロイヤリティプログラム」という考え方が浸透していて、よく使ってくれる人には還元率を高くしようという設計になっているものです。PayPayの場合、PayPay Step(ペイペイ・ステップ)という制度があって、PayPayをいろいろなところでたくさん使うと還元率が上がっていきます。
スタート地点はみんな0.5%なんですが、PayPayのクレジットカードであるPayPayカード(年会費無料)に入ってPayPayの支払いをPayPayカードで後払いにするだけで還元率は1.0%になります。カードの後払いでも別に金利はかからないから単純に還元率だけが高くなるのです。
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■最高水準になるための2つの条件
さらにPayPay Stepの最高水準である1.5%の還元率に到達するには、前の月にたくさんPayPayないしはPayPayカードを使わなければなりません。基準がふたつあります。ひとつは一か月合計で10万円以上使うこと。そしてもうひとつが一回300円以上の支払いを一か月で30回以上することです。
私の感覚だと社会人として生活しているとクレジットカードで月10万円使うのは比較的普通にクリアできる条件だと思います。月始めからPayPayカードを優先的に使うように心がければ月半ばでの10万円の達成も可能です。
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■「2つ目の条件」が絶妙に上手くできている
そうなってくるとむしろ難しいのが月30回という条件。これは要するに毎日一回PayPay関連で何かを買わなければ達成できないんです。人間って途中で結構サボるものですよね。そうすると月末が近づくと必ず「あと10回」みたいにノルマが足りないことがわかります。
だから私はいつも月末が近づくと、「すみません、支払いはPayPayでお願いします」と従業員の方に声をかけています。
もちろんPayPayが使えないお店もあります。うちの近所だとスーパーのまいばすけっとはイオン系列のためAEON PayはOKでもPayPayはだめ。ドン・キホーテもmajicaはOKでもPayPayは使えません。でもどちらもPayPayカードなら使えますからそれで回数を稼ぎます。
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■業界首位に押し上げた鍵は“習慣化“
還元率1.5%というのは他のクレジットカードやキャッシュレスと比較したら非常にお得な還元率ですよね。2万円支払うたびに1.5%、つまり300円のお小遣いをもらえる計算です。ノルマ達成は大事、大事。
そして月があらたまるとまたこれがゼロから始まるのです。その結果、私は月30回支払うために毎日、レジでスマホを取り出して「PayPayでお願いします」と言うようになりました。そうなのです。これこそがPayPayを業界首位に押し上げた習慣化作戦だったんです。怖い怖い。
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■著者プロフィール
Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。
今週は「PayPayをQRコード決済首位に押し上げた戦略の話」について取り上げました。
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(文/鈴木貴博)