プロスポーツ選手によるSNS不祥事 弁護士に聞いたトラブルの現状と予防
SNSに関する不祥事がプロスポーツ界でも続出。適切な対応を弁護士に聞いてみた。
この度、韓国のプロ野球選手が、SNSの利用において不適切な書き込みを掲載したとして、球団から処分を受けた。
日本においても、今や、ほとんどのスポーツ選手が、積極的にSNSを用いて自ら発信を行っている。そのため、このようなSNSに関するトラブルは、日本のスポーツ界でも問題となり得るものだろう。
そこで、スポーツにおける不祥事問題対応、SNSトラブル・炎上問題対応の経験を多く持つ、レイ法律事務所山本健太弁護士に、スポーツに関係したSNSトラブルの現状について聞いた。
■限定公開でも流出の危険が
SNSは大変便利なツールです。しかし、SNSでの発言は、仮に限定公開の投稿であっても、場合によっては外部に流出する可能性があるため、投稿者は基本的にそのことを必ず念頭において発信しなければならないと思います。
今回の韓国のプロ野球選手の件も、報道によるとプライベートなアカウントでの投稿だったようですし、私の経験上も公開を数名のみに限定していた中で行われたSNS上の投稿でしたが、それが流出し大問題となった事案もありました。
その仕組みとしては、例えば限定公開のアカウントでも、許可された閲覧者がそれをスクリーンショットし、(悪意のない場合もありますが、)周りに見せるなどで拡散されたり、また、たまたま許可された閲覧者が知人にその限定公開の投稿を見せてしまったりするなどが考えられます。
そのため、SNSで投稿を行う際には、第三者も自分の投稿を見る可能性があることを十分に意識しておく必要があります。
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■SNSトラブルの予防
このようなSNSのトラブルは、じつはSNSの利用に関する知識・認識不足が原因であることが多いと思います。例えば、Instagramのストーリーズは通常の投稿とは異なり、基本的に投稿から24時間で自動的に消えるため問題ないと考えて、不用意な投稿をしてしまうことも多いかと思いますが、第三者がスクリーンショットなどでその投稿を保存し、流出させることも考えられます。
SNSの利用においては、単に一般的なSNSのリスクだけではなく、このようなリスクとなり得る場面・事案を具体的に理解しておくといった、適切な知識を身につけておく必要があると思います。
とくにスポーツのトップ選手は、若い頃からその言動を注目されます。しかし、いくら競技能力の高いトップ選手であったとしても、例えば高校を卒業して間もない時点では精神的にもまだ若く、社会経験も乏しいといえます。そのため、チーム、リーグ・競技団体などが主導的に、このような「使える具体的な知識」を学ぶ研修の機会を設けてあげる必要があるように思います。
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■ファンによるSNS上の問題
スポーツに関するSNS上の問題は、何も選手・チーム関係者による投稿・発信だけにとどまりません。昨今では、ファンによる、選手等に対する誹謗中傷の投稿や審判に対する誹謗中傷の投稿も問題視されています。
このようなネット上の不適切な投稿に対しては、チームやリーグから声明が出されたりもしています。
スポーツでは勝敗がつきものなので、ファンの方々が熱くなる気持ちは分かりますが、このような行為は、スポーツの本質的価値である「楽しみ」ということにも反するものであると思います。
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■法的責任、スポーツ界の損失
SNSでの不適切な投稿に関しては、その内容や投稿の状況等によっては、名誉毀損罪、侮辱罪、業務妨害罪などの刑事的責任や、不法行為に基づく損害賠償請求などの民事的責任が発生する場合もあります。
特に、最近では、各競技のチーム、リーグ等も、SNS上の投稿には注意しておりますので、投稿内容、頻度、周囲に与える影響などを考慮し、看過できないものに対しては実際に法的責任を問うための手続きを進められる可能性もあるように感じます。
また、SNSのトラブルに限られませんが、スポーツに関して不祥事が起きると、その弊害として、選手・チームの活動停止などだけではなく、その競技のイメージ低下につながり、競技人口の減少、ファン、さらにはスポンサーがその競技から離れていく可能性もあります。そうなると、その競技の発展すら阻害される可能性もあるのです。
そうならないためにも、選手、チーム関係者のみならず、ファンの方々含めスポーツに関わる全ての人が、SNSの利用に関する適切な知識を持ち、正しく利用することが重要だと思います。
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(取材・文/Sirabee 編集部・熊田熊男)