街中に吐き捨てられたガムに「異変」 清掃会社が明かす現状に耳を疑う…
道端に吐き捨てられたガム。マスクをするようになったことで、ごみが激減したようで…。
街中を歩いていると、靴の裏からニチャッと嫌な感触が伝わる。下を見ると、吐き捨てられたガムだった──。誰しも一度は経験があることだろう。
ここ数年、そんな街中のガムのごみに「異変」が起きていて…。
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■取材時に気付いたこと
4月下旬、街中のマスクに関する取材のため、記者は新宿の繁華街を訪れた。道中でメモ帳を落としたのでしゃがんだ瞬間、気付いた。路上に落ちたガムが激減していたのだ。
以前、同じ場所を訪れた際は吐き捨てられたガムがたくさんあった記憶だ。酷い時は、路上に点々と黒い斑点が広がっているように見えることも…。
よく考えると、新宿に限らず、最近あまり街中でガムのごみを見ない気がする。
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■ガムのごみには「異変」が…
ガムの「ごみ事情」について聞くため、街中のガム除去に特化した清掃会社「ガムクリーン・カンパニー」に取材を申し込んだ。同社は2002年に設立。
駅前のロータリーなどに落ちたガムをスチームで温め、ガムが溶けやすくなる特別な洗浄液をかけ、少しずつ溶かしながら掃除している。
同社の執行役員を務める宮本晴一さんによれば、ガムのごみは右肩下がりに減少しているとのこと。「ガムのごみは2000年代半ばがピークだったと思います。その後はガムの生産量が減っています。体感的には生産量が減るのと比例して、ごみも減った印象です」(宮本さん)。
ニーズの変化もあり今年に入り明治「キシリッシュ」もガム事業から撤退。さらにコロナが「ガム需要」減少に拍車をかけたようだ。
前出の宮本さんは、「マスクをするようになってから、ガムのポイ捨ては格段に減りました。以前は外で人に会う前のエチケットでガムを噛む方が多かったと思います。ただ、マスク社会になって、そこまで口臭を気にしなくなり、噛まなくなったのではないでしょうか」と話す。
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■「罪悪感を感じる?」
ガムを噛む機会が減ったことも、要因の一つかもしれない。ただ、それだけでごみが減るとは思えない。
前出の宮本さんは、マスクを外して捨てるのに抵抗を覚えるのではないかと推察する。「ガムを吐き捨てる人は、そこまで悪意を持っていないと思います。ある種、つばを吐くのと同じような感覚だったのではないでしょうか。ですが、マスクを外して捨てるとなると、罪悪感を感じるのかもしれません」(前出・宮本さん)。
結果的に、マスクを付ける風潮がある種の「抑止力」になったと言える。
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■「コロナ5類」移行で変化は…
5月8日からコロナの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行した。街中ではマスクを外す人も増えている。
「ノーマスク」の人が増えたことでガムのごみが増えていないだろうか。こちらの疑問をぶつけたところ、前出の宮本さんからは、「今のところ大きな変化はないです。ただ、夏になってマスクを外すようになれば、以前のように人と会う前にガムを噛む人も増えるかもしれません。その反動で吐き捨ててしまわないか心配です」という回答が寄せられたのが印象的だった。
街中のガムの吐き捨てが減ったのはいい傾向である。この流れを維持したいところだ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)